令和5年1月 金剛寺住職法話集

陣中(コロナ自粛奮闘)お見舞い申し上げます     1月分手紙  

明けまして、おめでとうございます。昨年は拙い法話にお付き合い頂きまして、まことに有難うございました。本年もどうか宜しく、お付き合いのほど、お願い申し上げます。

読者が「毎日投稿される住職の法話を、読み始めて3ヶ月になりますが、住職はお寺に勤めて、何年程になるんですか」と。「約40年、ですかね」「今と昔で大きく変わった点は、何ですか」「やはり1番は、看護協会から講演に何度か呼ばれた時、方々の大病院の看護師さん達が、病院で他界の親の遺体を引取拒否する子供がいる、と聞いた事かな」と。この読者が「えっ、それって本当なの」と。「病院側が親の遺体を受けに来ない子供に電話をすると『要らん』と。人がそう動くには、必ず、そう動くだけの理由がありますけどね。捨てられる様な事をした親なのかも。だが、子供が引き取らねば、病院、福祉が後の始末を。家庭問題、親子喧嘩に第三者は、何の関係もない。他者に迷惑(費用、手間)を掛けて、平気でいる子供の人間性が問われる。他にも、病院から直接火葬場に向かい、遺骨をそこに捨ててくる子供。遺骨は一応持って帰るが、住所、氏名が記されてある埋葬許可証を抜いて、電車の中や、家庭ごみ収集場所に、置き捨てる子供。それも少ない数ではない。ある自治体では、2017年度、身元が判明の捨て遺骨51柱の内、引き取りに来たは、1柱だけと。ここまでとは言わずとも、これに近い事例は、拙僧の耳にも結構に。わが寺の檀家さんには、絶対にそんな事はさせない。納骨堂契約時には『納骨堂は、遺骨を捨てる場所じゃない。姥捨山状態にしたら、遺骨は突き返す』と。捨てるつもりで契約に来た人は、そそくさと引き返していく。子供や孫がそんな親の行動を見て、命の尊さを勉強出来るはずがない。ある中学生が『人間死んだら、ゴミ処理と一緒か』と放った言葉には、衝撃を覚えた。何か、悲しいね。だけど、拙僧の今回のこの話は、こうした問題のほんの一部に過ぎない。お寺側(住職)の責任問題も問われとる。人間関係が希薄になってきたも、こうした事も要因の1つなのかな。また、機会があれば、おいおいこの話を」と、この読者に。因みに、こんな話を投稿すると、烈火の如く反論してくる人が。人は他者に言われて腹が立つ時は、自分に身に覚えがある事が多い。身に覚えがなかったら、冷静に聞き流せますもんね。

【追伸、独居老人】

檀家が在住の分譲マンションで、1人暮らし老人が孤独死を。福祉の人が子供に連絡すると「葬式はそっちでして、遺骨だけ持ってこい」と。3ヶ月後、その老人の息子家族が、平然とした態度で引っ越して来たと。マンションの住人は皆、事情を承知。が、悪びれもせず、こちらから挨拶しても、挨拶を返す事は一切なし。凄いですね。日本は今、お金さえ出せば、何でも手に入る。工夫して活かす必要のいない国に。その恵まれた環境と引き換えに、感謝の心も含めて、失ってきた物が、あまりにも多い様な気がしますな。

【追伸、拙僧の幼少期】

昨年の暮れの法要で参拝者に「ご存知の通り、拙僧の両親は離婚を。物心ついた頃から、家族団欒はなく、両親が会話する姿を見た事が。事ある毎に2人から『お父さんとお母さん、どっちが好き』と問われ続け、遂に7歳の時、両親を前に置いて、饅頭を2つに割り『どっちが美味しいか、答えてよ』と突き付けた。環境がこんな子供を」の話を。この法話の後、30代の若夫婦が拙僧に「この話の子供、住職が7歳の時の話ですよね。何か、何とも言えない気持ちに」と。「その割った饅頭は、北九州小倉にある湖月堂(明治28年創業)さんの栗饅頭だったかな。今、思い出しても我ながら、可愛げのない子供だった。子供が理解してないと思ったら、大間違いだよ。口に出して言わないだけ」「そうですよね。わからない振りをしてくれてるだけ、なんですよね、子供は」と夫婦で顔を見合わせて。昨日(10月30日)、この若夫婦が「あの法話のお陰で」とお寺へお礼に。

【追伸】

小学2年生の男の子が、夏休みの宿題工作で、蜜柑箱を使って、何やら台の様な物を。両親が「何を作ってるの」と尋ねると「パパとママが、爺ちゃん、婆ちゃんになった時、廊下でご飯を食べる時のテーブルだよ」と。それを聞いた両親は、絶句した。お察しの通り、現在、老いた父親を「汚い」と、その様な仕打ちに。また、こんな話も。檀家婆様が「今年の夏、曾孫の帰りがあまりに遅いので外に出てみると、玄関先の庭石に座る曾孫が。『どうしたの』と尋ねると『友達のお母さんが、虫に刺されるから、と蚊取り線香を。折角くれたのに、悪いから火が消えるまで』と。孫娘は、しっかり我が子を育てとるようです」と嬉しそうに。人は、誰が育てるか、誰に育てられるかは、非常に大事にて。子供は、親の言う通りには動かん。親のするとおりに動く。

【おまけ1、見合い結婚】

老若男女の檀家さんが、約40人集まってる場所(法要後)で『子供の代わりに、親同士が見合いをしている』という話で盛り上がった。10代の女性1人以外の全員が『賛成』の票をあげた。大半の賛成理由は「マイナスの部分が感じられない」と。20代女性数人が「親が認めた男性にて、結婚までいくかどうかは別として、安心感はある」と。40代、50代の檀家さん達は「結婚は本人同士の付き合いだけ重視すればいい、と皆、勘違いしてる様だが、四方八方上手くいって初めて、幸せは得られるもの。特に、親同士の良好な関係は、若夫婦の円満には、必要不可欠なんだよな。この親同士の不仲で、失敗した若夫婦の家庭を嫌っというほど見てきた」と。この『子供の代わりに親が見合い』の話題は大変面白いので、方々で問い掛けてきたが、老若男女問わず、賛成派が8割を超えてたかな、いや、9割を超えてたか、拙僧の印象では。わが爺様は、明治生まれの頑固親父だったが、生涯に50組以上の仲人を。本人は100組以上、と言ってたが、まあ、話半分として。その爺様が「30歳を超えた独身の子供が家にいたら、親が売って回らんと、買い手はつかん」と親の尻を蹴ってましたもんね。この『子供の代わりに親が見合いは、ありか、なしか』の質問で『なし』と答えた檀家10代女性が「恋愛は自由にしたい」と。対し、中高年の檀家さん達が「これは、恋愛の話じゃないよ、結婚の話だよ」と返したら、この10代女性が「ああ」と少し納得の顔を。皆、真面目にこの議題に向き合ってましたね。その中で、娘を持つ父親が「運がいいというか、何というか、私のわがまま娘をもらってくれる男性が現れたは、幸いでした。恐らく婿殿は、苦労してるんじゃないか、と。その娘がこの度、懐妊を。自分のわがままを優先させずに、子育てが出来るかどうか、心配で」と。対し、拙僧「大丈夫。自分よりも、わがままが出てくるから」と。まあ、しかし、子供がこの世に出てきて、まず初めに人間の理不尽(嘘、誤魔化し、悪口)を目にするは、親の言動からですもんね。親は余程考えて子供に接しないと、自分のコピーを作りあげる事になりまっせ。

【おまけ2,娘】

檀家の若い父親が「住職、娘に嫌われない方法って、ありますか」と。「1週間前に生まれたばかりだろ、君のところは」「ええ、でも、それが心配で、心配で」と。「番組『ホンマでっか』で専門家が『思春期600人の女の子に、父親が好きか、と聞いたら、好き、と答えたは6人だった』と言ってた」「100人に1人の割合ですか」と、その落胆様ったらありゃしない。この父親が「その6人が、父親を好きな理由は何ですか」と。「その時の統計結果では、両親が非常に仲の良い家庭の女の子達だったそうだよ」「住職の娘さんは、どうだったの」「娘に嫌われてた、という印象は全くないな。作務衣を着て学校に来るを嫌がった時期(中学生の頃に一瞬)はあったが」「その理由は」「娘が言うには、友人から『お父さんは、悪い人なの』と言われた事があるらしくて。作務衣姿に雪駄履き、恐い顔に低い声とくりゃ、そう思われますわな。でも、今、娘は30歳を超えましたが、先日『お父さんとお母さんが、大きな声で怒鳴り合う姿を1度も見た事がない』と、娘が友人に話していたのを耳に。君も娘さんに嫌われたくないなら、奥さんを大事にする事だな。それと、これは一概には言えないとは思うが、専門家が『親が小さな嘘(悪い事をしたら、鬼が来るよ、とか)を付いて子育てした子供は、親に嘘を付く様な大人になる』と言ってたよ。子供も学習しながら(親の小さな嘘を、嘘で対応しながら)成長してるからね。これは、何かしらの参考にした方がいいかな。親が作った家庭環境で、その親が育てる。親に似た子供が育つ確率が高いは、当然の事。話を元に戻すが、ある番組で、お笑いの濱家さんが『3歳の娘に将来、彼氏が出来るなど、考えたくもない。同僚の芸人(男性)に抱っこされるのも、嫌』と。そんな気持ち、拙僧には一切ない。自分は義理の父親から、大事な娘(妻)を奪っておきながら、自分は娘を奪われるは嫌と、意味がわからん」と。


令和 5 年 1 月分 金剛寺住職(コロナウイルス関連)短文法話 【その32】

あけましておめでとうございます。正月ですので、偶には「坊主らしい話(?)も」という事で、この度は2つ程、拙僧の夢の中の話をば,させていただきましょうかね。時は、師走。歳徳神(正月様、先祖の集合霊)も帰って来られますから、供養はやはり大事かな、の話を 。昨今、経口妊娠中絶薬(薬で中絶させる薬)の話が、この国で物議を。拙僧のところにも、反対署名願いの話が。日本は現在、思案中の様子にて。

【夢の話 1】

読者女性が「数年前に、住職が投稿された水子の話をもう1度、聞かせてもらえませんか」と要望が。「あれは、夢の話ですよ」「わかっております。是非ともに」と。それでは、という事で。「夢の中で、女性3人がお寺へ。理由を尋ねると『この度、こちらで私達、水子3人姉妹の供養をして頂けると。そのお礼にやってまいりました』と。対し、拙僧『水子って、言わっしゃるが、あなた達、30代に見えますよ』『はい。もし生まれていたら、この様な姿になっておりました』と。で、目が覚めた。住職という仕事をしているので、まあ、こんな夢も見るわな、と。が、次の日、初参拝の老女が供養願いにお寺へ。聞くと、供養は水子さんと。昨夜の夢があったので、まさかね、と思ったが、その老女に『水子は何人ですか』と尋ねると『3人です』『性別は、わかってたんですか』『3人とも、女の子でした』『性別がわかるギリギリまで、中絶するか、しないかを、迷われたんですね。何年前の話ですか』『35年前の事です』と。偶然とはいえ、これには、驚いた。供養後に老女が、中絶の理由を拙僧に。『経済的に已む無く。その悲しさから、今日まで考えない様に。が、昨今、どうしても気になって。実は、4人目の子供が男の子で、この子だけは、と。その子がこの度、結婚を。ところが、懐妊した喜びも束の間、お嫁さんに子宮癌が。もう、次の子は望めないと、医師から。私が3人もの命を、粗末にした報いですかね」と。対し、拙僧『それは、違うと思うよ。中絶死も、その子らの寿命ではないですかね。人には、それぞれ事情が。事情の塊が、人間にて。が、これよりは、時には、お子さん達(水子)の供養を、あなたの菩提寺で』と。拙僧の夢の話の事は、この老女にはしませんでした。拙僧の個人的な夢の話、ですのでね」と。

【追伸】

水子の夢の話が終わると、拙僧の夢話を要望されたこの読者女性が「人間は、恩を受けた事、失敗した事、を忘れた途端に、また、同じ罪(失敗)を繰り返す。今日は、お話を頂き、有り難うございました。これでまた、心新たに、自分を戒めながら、歩んでいく事が出来ます」と。

【夢の話 2】

別の読者が「先日の、住職の水子さんの夢の話を読みました。されば、以前、住職が投稿された『四国の幽霊の夢法話』も、もう1度、聞かせてくださいませんか」と。それでは、という事で、この度も一席。「四国巡拝中、遍路宿で夜中、天井から物音が。その音先をじっと見ていると、天井から女性が『あのう』と顔を出してきた。もう1度言いますが、これは単なる拙僧の夢の中の話ですから。対し、拙僧『そんなとこから、顔だけ出して物言わんと、降りてきて話をしなさいや。それに、なんなのよ、その恨めしそうな顔は』と言うと『こんな顔をしたら、同情してもらえるかな、と思って』『で、今日は、何の用なの』と尋ねると『私の供養を、して頂けないものかと』『いいよ』『えっ、即答じゃん。供養して頂けるんですか』『嘘付いて、どないすんねん』なる会話で、目が覚めた。ほんと、住職という仕事をしている、ならではの夢でっしゃろ。が、例え、夢とはいえ、この時は、四国巡拝中という事もあり、先祖供養というものを、改めて考えさせられましたね。が、これには、続きの話がありましてね。その1年後、また、夢の中にその女性が出て来て『私の事を覚えてますか。四国の、恨めし顔の幽霊です』と。『おう、おう、おう、おう、覚えてるよ。久しぶりやん。で、今度は、なに用よ』と尋ねると『実は、1人息子があまりに先祖を大事にしないので、私が誘導して、住職のツイッター法話を読ませ、住職のお寺に足を運ぶ様に仕向けますから、ご指導のほど、お願い出来ないものでしょうか』と。で、目が覚めた。当に『ザ、夢』でしょ。それよりも何よりも、夢って、続きを見るんですね。初めての体験だったから、面白かった。面白かったけど『そんな事があろうはずが』と。ところが『そのあろうはずが』が、数日後にあった。母親を亡くしたという息子が、家族を連れてお寺へ供養に。懺悔の内容を聞いていると『ほんとかよ、これ』と。まあ、しかし、偶然である事には違いない。この息子にも『今日はこのお寺で、君の先祖の供養をさせてもらいますが、今後は、自分の家の菩提寺で、供養をしてもらいなさい』と言って、帰しました」と読者に。

幽霊話が終わると、この夢の話を要望してきたこの読者が「この話、何度聞いても好きなんですよね。あの世に逝ったら、先に旅立った祖父母や父母、親戚や知人、友人達に、会える様な気がして」と。

【追伸】

さて、水子の供養ですが、1年に1度は「祟られたら嫌だから、水子の供養をしてくれ」と、命を粗末に扱ったを、反省していない若いカップルがお寺へ。対し、拙僧「自分達で命を奪っておきながら、今度は、化け物扱いかい。いい加減にせんかい。わが親を祟る様な子供など、どこにもおらん。祟られるから、じゃなく、申し訳ない、の心で供養をしなさいや」と。因みに、わが寺では、年に1度、1月に檀家さんが揃って、水子供養の法要を勤めます。何年かでも、この世に生存しておれば、誰や彼やが覚えていてくれて、供養をしてくれますが、こと、水子さんに限っては、その子の両親しか、その存在を知らない。その両親が供養してあげなければ、誰もこの子に心向けを。最も可哀そうなご精霊かな。「忘れちゃならんよ」という事から、毎年初めに、法要を。

わが寺では年末に、鬼子母神さんの御礼報謝の法要が営まれます。鬼子母神には、如来型と鬼神型が。わが寺には、如来型が。祈願の趣は、子供に関する事が主で、子孫繁栄、子授祈願、安産祈願、学業上達、水子供養など。何年間も毎月参拝して、子供が授かった夫婦も。これがご利益かどうかは、そりゃわからん。ただ、祈願したという安心感から、妊娠し易い体に、かも。因みに、わが寺では過去に2例「ご主人には子種がない」とドクターより診断されたご夫婦がいた。1組は、その土地を縁に人間は生まれてくる事から、夫婦で氏神(八幡様)詣でに、何年も日参を。もう1組は「古の彼方から1つの命をバトンタッチの様に、先祖が繋いでくれたお陰で、今ここに命が」から、納骨堂に何年間も日参を。2組とも、男の子を2人づつ。こんな話を聞くと「神仏の、先祖のご加護、ありがたか」となるが、実際は、現在の医学ではまだ、解明されてないが、心の持ち様で何かしらの作用(免疫向上)が働いたのではないかと。コロナ初期年の4月に、肺癌が消えた檀家60代女性にしても、そうかな。神仏のご加護など迷信に過ぎん、とまでは言わないが、信仰が何かしらの心の作用の手助けを、かな。ただ、気を付けなきゃならんは、信仰は特別な物じゃない、という事。特別な物(金儲けの手段、洗脳、脅し、など)にしている者がいるだけにて。30年程前までは、子供に関する祈願は多かった。が、昨今は減少の方向へ。要因として考えられるのは、50歳まで1度も結婚してない(統計の取り方で数値は多少変わる)が、男性が約25%で、女性が約15%と。40歳では、男性30%で、女性20%と。『結婚したい、子供ほしい』という檀家若者達にだけ「結婚は、何歳でも出来ますが、子供は、何歳でもという訳にはいかないよ」と。結婚しない理由は、様々あろうが、国(政治)が後押し出来る事が、何かしらあるのではないか、と昨今。

【おまけ】

読者が「住職は『験担ぎ』は、全く無意味との判断ですか」と。「そうではないよ。免疫向上、安心感、落ち着きを得る為には、必要かな。寺院での祈願も、それに当たるよ。ただ、果報は寝て待っていても来ないよ。3度目の正直もそう。努力の裏付けがあって初めて、活かされるもの。ルーティーンも、それかな」と。「他には」と。「血液型による相性診断も、結婚式の日和の吉日も、ジューンブライドも、それを参考にして、それを気にして結婚を決める人は、わが寺でも少なからず。が、別れる様な事をしたら、別れますばい。折り合う心、相手を敬う心があれば、長く円満な夫婦になりますばい。験担ぎに限らず、迷信もまた然り。迷信は、解明されたら、迷信でなくなる。それまでは、迷信を善き物にするも、悪しき物にするも、当人次第かな」と。

天徳山 金剛寺

ようこそ、中山身語正宗 天徳山 金剛寺のホームページへ。 当寺では、毎月のお参りのほかに、年に数回の大法要も行っております。 住職による法話も毎月のお参りの際に開催しております。 住職(山本英照)の著書「重いけど生きられる~小さなお寺の法話集~」発売中。