令和5年5月分 金剛寺住職法話集


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【 様々な弱い立場の人達に対し、世の中は、寛容でありたいもの】

読者女性が「新幹線の車両内で、わが子(生後1ヶ月の男子、里から東京へ)が、ギャン泣きを。すると『煩い。母親なら、黙らせろ』と初老男性が。車内には、その初老男性を諌める人もおらず、3時間程トイレの前で赤子を抱いて。仕方がないけど、なんか、悲しかったですね、住職」と。「よく聞く話だよね。大人は皆、自分達も乳飲児の時には、ギャン泣きしていたのにね。自分達の育児期間が終わったら、幼稚園や小学校に『子供の声が煩い』と文句三昧言う人達も。新生児が年間に数百万人(昨年の出生数は、初の80万人割れ)ほど生まれれば、あっちこっちでギャン泣きが。それが普通の情景になれば、文句言いも多少は減るかもね。育てられた経験しかない人達が減れば、育てる経験をしてない人達が減れば、つまり、結婚して親となり、子育ての大変さを知る人達が増えれば、赤子のギャン泣きにも、幼児、小学生の声にも、多少は寛容になれるかもね」と。

更に、この読者女性に「実は、拙僧のところも昨月、娘が旦那と一緒に、ちび豆(孫、生後1ヶ月の男子)を連れて、北九州から東京に戻って行きました。ギャン泣きしたかどうかは、報告はありませんでしたが、拙僧も多少、大丈夫だったかな、と心配をしていました。さて、これからが、娘夫婦は協力して、本格的な子育てのスタートです。『4万年前から、親になった人達は全員、この苦労をしながら人間育てを。自分だけが苦労している訳ではないよ』と、娘にはその様に話しました。思えば、家内(夫)も、子供も、孫も、天が私に与えくださった、最高のプレゼントにて。大切に、大切に、この縁を育みたいものですよね」と、この読者女性に。

【 乳幼児ギャン泣き法話、の続き】

更に、この読者女性に「拙僧も新幹線を年間に、度々利用しますが、新幹線の乗降口に立って、乳飲児を抱えている若い母親と、遭遇する機会が偶にあります。『誰かに、嫌ごとでも言われたかい』と尋ねると『そうですね』と、言葉少なく沈んだ顔を。拙僧も育児中の若い時期に、公共交通機関で嫌な顔をされた経験が。赤子が泣くは様々理由が。お乳もそう、寝くじもそう、新幹線だと、耳キーンもそう。もしかしたら、他にも」と。この読者女性とのメール交換中に早速『私も、煩い、黙らせろ、と思う』のメールが、別の女性から拙僧のSNSに。そんな文句言いも、記憶にはないでしょうが、自分も乳幼児の時期、間違いなくギャン泣きを。順送りなのにね。宅急便の配達員さんに、遅れたからと土下座をさせたり。制限速度で走ってる車を『俺のペースの邪魔するな』と言わんばかりに煽ってきたり。今、この国は、何でもがある程度、自分の思い通りになる環境にて。よって『待つ事、我慢をする事』が出来ない国民に。自分にとって、都合が良いか、悪いかで、キレる人間は、一定数はいる。また、他国に比べ、至れり尽くせりの日本。檀家にも外国勤務経験者が結構いるが『外国で生活をすると、日本がどれだけ恵まれているかが、わかる』と異口同音に。してもらって当たり前が『当たり前』になったら、感謝はなくなり、少しでも不都合が出たら、口から出てくるは、文句だもんね。残念だが。続けて、この読者女性が「乳幼児のギャン泣きに文句を言う人達って、やはり、子育ての経験がない人達でしょうか」と。「そうとは、限らんと思うよ。例えば以前、報道で、中学校の運動会で『保護者は、大声出して応援するな。競技の応援合戦はさせるな。煩い』と、地域の老人達が文句を言ってきた、とのニュースがあったでしょ。自分達も子育ての時期は、大声を出して応援してただろうに、と思ったけどね」「ということは、やはり、今、自分にとって都合が良いか、都合が悪いか、が是非の基準って事ですか」「その様な人は、一定数は存在するだろうね」と。

【この読者女性とのSNS内での会話に、別の読者女性が数人参入を】

その参入女性達の文句を、1つにまとめてみました。「住職。子供が泣くには、理由がある。また、私は子供も孫もいるが、レストランや電車など、公共の場でギャン泣きする子供には『煩い、躾が悪い、母親は何をしてる』と、やはりそう思う。勿論、子供が体調が悪い、という気の毒な場合もあるが、多くは準備不足。おむつが汚れている、暑い、寒いなど、ちょっとした事で、赤ん坊は思い通りにならないと騒ぐ。以前、泣き叫ぶ赤ん坊を、横にいたおばさんが『ちょっと貸してごらんなさい』と、代わりに抱いてあやして泣き止ませたを目撃しました。私は若い頃、客室乗務員。飛行機では必ず、赤ん坊が泣くのに対応しました。気圧を感じるからです。それで必ず哺乳瓶を用意して気を紛らせます。ミルクは時間通りに規則正しくなどと言う考えは、この場合忘れる事です。周囲に迷惑を掛けないのも、子育てで学ぶ事でしょう。私が若いお母さんに薦めるのは、子供を公共交通機関に乗せるには、練習が必要、という事。口に何かくわえさせると泣き止むなど、泣き止ませる方法を学習。順送りというのは理解しますが、親たちは皆、子供を泣かせない様に努力してきたのも、順送りです」と。 

対し、この参入女性達に拙僧「この世の中に『これ、正解』は、ないですもんね。自分にとっての正解を、時間を掛けて、じっくりと探し出す事だけ。特に、第1子目は、育てられた経験しかない人が、子育てを。つまり、親としてのど素人期間にて。赤子の誕生と共に、新たな親もまた、誕生を。失敗を許してくれる社会を自由な社会。失敗を許してくれない社会は、自由な社会とは言えない。拙僧の娘も、数日前に夫婦で赤子(生後1ヶ月)を連れて、北九州から東京へ。『新幹線にするか、飛行機にするか、レンタカーを借りて1200キロ走るか』と若夫婦で熟考を。結局、新幹線の5時間より、飛行機の1時間半を選択。3人の子供を育てた拙僧の家内から、状況に応じた対応を伝授され、飛行機に。娘夫婦から『1度も泣かなかったよ』と連絡が。すると家内が『それは、お利口さんだったね。だけど、今回は偶々だよ。赤ちゃんが気持ちを訴える手段は、泣く事しかない。その事は頭に入れておきなさい。予想が出来ないのが、赤ちゃんだよ』と妻が娘に」と、この文句言い女性達に。

この『赤子ギャン泣き法話』の論議は、様々参考になりそうですよね。大半の意見メールは「大人は寛容であれ。赤子のギャン泣きが、なんぼのもんじゃ。懸命に生きようとしている姿を、愛おしいと思わんのか」が多数。「母親がなんとかしろ」の不満の中にも、参考になる意見が全くない訳ではないが「日本人はいつからこんなに自分勝手になったのでしょう。変な個人主義に陥っている様に思われます。自分の行動に責任を持つ事と、お互いを思いやる心は、何処へいってしまったのか。戦後教育の悪い面が、出てしまっている様に思われます。今の時代は、余りにも目先に拘り、自分に拘る風潮が強すぎると思う。余裕が無いと言えば、確かにそうかもしれんが。こんな社会環境だから、若い人達が子供を持ちたがらなくなったのかな、と思わん事もない」なる意見も。            今1つの意見は、新生児を育て中の母親が「住職が法話で『親が子供を育てている事には、間違いはありませんが『親である事の自覚を持ちなさい』と、親も子供から育てらておるを忘れちゃならん』と。特に第1子にはそれを感じます。第1子に子育てを学んだお陰で、第2子、第3子の時には、ある程度は、親のプロに」と。

思えば、育ててもらった経験しかない者が、親になる。教えてもらった経験しかない者が、教師になる。診察してもらった経験しかない者が、ドクターになる。今現在において、プロと言われている人達も皆、初めは何の経験もないど素人。大人も皆、赤子の時には、ギャン泣きを。『実れば、実るほど、首を垂れる稲穂かな』の様に、

おおらかな心で、弱者を見守りたいですよね。

プロと言えば、昨今「菩提寺(葬式、供養をしてくれる寺院)の選び方を教えて下さい」なる相談が少なからず。対し、拙僧「名医を探したいなら、医者仲間か、看護師さんに聞け、と。名匠を探したいなら、大工仲間に聞け、と。諺に『海の事は、舟子に問え。山の事は、きこりに問え』なる言葉が。ドクターが認めるドクター。大工が認める大工。男性が認める男性。女性が認める女性。つまり、プロの事は、その道のプロに尋ねるが早い。プロが認めるプロは、間違いない。菩提寺を探すも同じ。住職仲間や、仏壇屋に尋ねるが早い。ご住職達と付き合いの深い仏壇屋さんに『人格者のご住職が座られているお寺を教えてください』と聞くが、間違いないよ」と。

【余談】

知人の爺様が「住職よ、8歳の孫がな、学校帰りに『じいじ、家にいたんだ。用事があるから、今から行く』と、すぐ近くから電話を掛けてきた。やって来ると、即『じいじ、歩いてるか。歩かないと体が弱るよ。今から散歩に行こう』と。家を出る時に『じいじ、財布とカードは、持ったね』と孫が。これ、どう思うよ、住職よ。孫は目に入れても痛くないと言うが、懐に入れると結構、痛いんだよな」と嬉しそうに。時折り、拙僧、檀家のお年寄り達に「わが子と、わが孫、どっちが可愛いですか」と問うと、爺様の大半は「孫」と答えますが、婆様の大半は「わが子」と答えるんだよね。やはり、腹を痛めた子供は、違うんでしょうね、母親は。

天徳山 金剛寺

ようこそ、中山身語正宗 天徳山 金剛寺のホームページへ。 当寺では、毎月のお参りのほかに、年に数回の大法要も行っております。 住職による法話も毎月のお参りの際に開催しております。 住職(山本英照)の著書「重いけど生きられる~小さなお寺の法話集~」発売中。