令和 5 年 8 月分 金剛寺住職法話集


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先日、拙僧の法話読者の女性がお寺まで来られ「住職さん、番組で『結婚したいと思う男性が現れたら、その男性のご両親に会いなさい。常日頃、母親が父親からどういう扱いをされているかを、自分のその目で確かめてきなさい。自分が将来、夫からどの様に扱われるかが、見えてきますから』と。これって、ほんとにそう思いますか」と。「そうだね。これまでに拙僧が接した数多の家族から物申すと、確率は低くはないかな」と。「やっぱり、そうなんですね」と、ため息をつくこの女性に拙僧「結婚相手を決める時、何を参考にすればいいですか、と若い人達に度々問われる事があります。『女性は男性の父親を、男性は女性の母親を、参考にするがいいかな』と答える事が多いですね。親が作った家庭環境で、その親が育てる。親に似た子供が育つ確率が高くなるは、当然の事。子供の頃は、父親や母親の言動を批判していた子供が、いつの間にやら、親と同じ様な人間になっていた、つまり『朱に交われば赤くなる』という事例は、拙僧の周囲にも、少なからずありますよ。勿論、例外もありますけどね」と。続けて、この女性が拙僧に「他にも伴侶選びで、気をつける事はありますか」と。「倫理論、道徳論を押し付けてくる男性は、厄介かもしれないね。『自分だけが正しい』と思い込んで攻めてくるから、手が付けられんわな。事あるごとに、ネチネチと小言を。『正論は押し付け過ぎると、優しさが欠ける』という心が欠如してるから、わが子に対しても、頭ごなしに自分の主義主張を押し付ける傾向が」と。すると、この女性、更に大きなため息をついて拙僧に「住職の法話で以前『1人息子の家に、わが娘を嫁に出すな。息子と母親の間に、嫁の入る隙間なし』と。これは、これで、衝撃的な言葉なんですが」と。

対し、この女性に「拙僧が受けた相談の中では、母親と息子がそうなっている関係は、半々くらいかな。母親ベッタリの息子は、つまり『寂しがり屋さん』なんだよな。誰かが横にいて欲しいタイプが多い。専門家の見解では『浮気をする男性は、弱々しいタイプの人が多い。息子の浮気問題にも、母親がしゃしゃり出てくる』と。こういう話を投稿すると、烈火の如く噛みついてくる男性、女性が必ずおらっしゃるが、人は他人に言われて腹が立つ時は、自分に身に覚えがある人が多いかな。身に覚えがないなら、腹は立たないもんね。最近また、拙僧周囲でも、浮気の話(浮気相談)が増え始めた気配がありますね」と。すると、この女性が「因みに、浮気をしない男性って、どんな人ですか」と。「これもまた、専門家が言ってましたが『一緒にいても、つまらない人』が浮気をしないってよ。そりゃ、そうだわな。つまらない男性、魅力のない男性と浮気したい女性なんて、まあ、そうそうは、いないわな」と。ここまで話すと、この女性は、遠くに目線を向けながら「いやいや、今なら、まだ、間に合う。間に合うよ。しっかり検討しなよ、この私」と、小声で自分自身に。

続けて拙僧、この女性に「因みに、弁護士が曰く、昨今の離婚になる夫婦関係の特徴は、夫の方から『結婚ルール』を決めてくるケースが主と。夫が自分に都合のよいルールを決めると。そのルールとは『結婚式はしない』『お互いの事は、詮索しない』『実家との付き合いはしない』『お金の管理は各々、お互いが決まった生活費を入れる』『お互いの部屋には入らない』など。この様な夫は奥さんに『電話番号、貯蓄額、収入額、勤めている会社』なども教えないと。教えない理由は、様々なプライベートを知られたくないからと。例えば、バツ1で養育費を支払っている事がバレるから、実家には行かせたくないとか。この様な男性は、子供が出来ると『子供の費用は奥さんのお金から』と、払い渋る人が結構に多いと。その様な事情を抱えてるから、最初っから『生活費は、完全折半』と、自分が無理なく生活が出来る様に、明言してくるんだろうね。特に女性側は、しっかりと男性を把握した上で、結婚に踏み切った方がいいかもしれないよね。直情的な恋愛は、危険かもしれないよ」と。対し、この女性が「弁護士の意見は意見として、住職が受けた結婚、離婚相談の経験から、どんな男女が離婚に至ってる気がしますか」と。「確かに、ルールを決めて結婚するカップルは、長続きしてない傾向があるかな。相手を信用してないから、ルールを作ってるんだもんね。それと、サプライズ好きもまた、然りかな。何故か、長続きしてない。武士の時代に、国々で独自のお触れ書きが。国によって箇条数(注意事項)の多い国もあれば、少ない国も。少ないは、国が安定しており、秩序が守られているという証拠。ルールも1つ、2つくらいなら、ね」と。

結婚問題、家庭問題、親子問題、夫婦問題、離婚問題、などの相談を受ける度に、オギャーと生まれて、そこに至るまでの教育が、如何に大事であるかが、わかりますよね。水は必ず、高い所から、低い所へと流れていきます。国を挙げての、根本的な教育環境の見直しが、必要不可欠になってきたのではないかと。

学校に呼ばれた講演会では、拙僧、常に「街に出ると、両手に荷物を持つ奥様の前を、亭主の威厳を履き違えた夫が、手ぶらで歩いている姿をよく目にする。馬鹿と変わらん。拙僧は家内に荷物を持たせた事がない。頭が高いと言われる人間に、力のある人間などおらん。力がないから、偉そうな態度をとってくる。能ある鷹は爪を隠すもの。能(力量)がないから、爪を剥き出しにして、威嚇してくる。弱い犬ほど、よく吠えるとは、うまく言ったもんだ」と、この様な話を。すると、講演後に奥様達から「住職の講演を聞いてから、主人が荷物を持ってくれる様になりました」と手紙で。さて、結婚は人生の墓場、なる言葉が。が、日本では、この言葉の意味を履き違えている人が多いようですね。この言葉の本来の意味は、墓場とはネガティブな印象を受けますが、実際は、人間を卒業後に頂く安眠の地が、墓場にて。つまり「結婚で人生の安らぎを得た」というが本意。それを字面から、自分勝手な解釈をして、結婚は、墓場(人生の終わり)と、自分の非を認めず、結婚そのものに責任の転嫁をする人の、なんと多い事か。まあ、自分だけがそういう風に解釈している分には、問題はないですがね。この自分の解釈を、他者に押し付ける人がいるでしょ。拙僧の周囲にも結構、その様な人がおられますばい。それは、あかんわな。その解釈は、あなた個人の解釈で、私の解釈ではない。大きなお世話ですがな。

 

【余談】

檀家の高校生が「住職さん、彼岸やお盆が来ると、僕は、死んだ爺ちゃんの事を思い出すんだよね。ある日突然に、父親に対して嫌悪感を抱く様になって、事ある毎に反抗を。そんな僕に爺ちゃんが「間もなく、お前の父さんは、父親を失う事になる。不憫な奴だ。今後は、お前(孫)が、わしの代わりに、あいつを守ってやってくれんか」と。末期癌だった爺ちゃんは、僕達親子の関係に心を痛めてたんだな、と。『死んだ爺ちゃんに、心配掛けちゃいかん』とその後、父さんとの関係を少しずつ。今では、仲の良い親子に」と、この子が。

似た様な話でこんな話も。親子喧嘩で10年以上、目と鼻の先に住んでおりながら、父親と疎遠の50代息子に拙僧「死んだら2度と会えん、というを知ってるかい。あなたの父親に、非がある事は重々承知してるが、親に頭を下げさせるのかい。それだけは、あかん」と。後日、12年ぶりに息子が実家に足を。父親は息子に抱きついて大泣きしたと。父親の他界後「住職、有難うございました。お陰で、悔いを残さずに送れました」と。

【最後に】

拙僧が幼い頃よりわが寺は、数多の檀家さん達のご奉仕(土木工事など)によって荘厳が整ってきました。その方々の大半が今、納骨堂で安らかに永眠をされています。年間を通し、天気の良い日は常に、朝6時に線香を立てて読経を。夕刻5時にまた、線香を立てて読経を。その間、朝から夕刻まで、すべての窓を開け放し、美味しい空気を堂内に。窓を閉じたままでは、皆々(先祖達)息苦しかろうと思って。加えて、毎朝5時から2時間程、檀家さん達の汗と涙が染みついた境内地を、息子達と掃除を。これくらいの事しか拙僧、お世話になった方々に、ご恩をお返しする術がございませんので。供養とは、故人に対する御礼報謝ですもんね。



令和 5 年 8 月分 金剛寺住職 お盆臨時法話

明治時代の教育者、森信三さんが「出会う人には、出会う様になっとる。それも、一瞬早くもなし、一瞬遅くもなし」と。人に限らず、縁というものは、全てがそうでしょうね。如何なる縁(夫婦、親子、友人、学校、会社、病気、事故、コロナ、など)も「出会うは、運命。出会ってからは、努力。最後は、感謝」かな。

先月(7月)の8日は、父(金剛寺2世)の祥月命日(平成15年、行年73歳、立ち日)にて。早や、21回忌を迎えました。平成14年の9月、腹痛を訴え、主治医の診察を受けに。その年の10月18日、大腸、膀胱、腹膜、肝臓、肺にまで転移していた癌の応急手術(確認出来た病巣だけ摘出)を。既に、病状は手遅れ状態。術後、父が「俺はあと、どのくらい生きるんだ」と。対し、拙僧「あと半年かな」と即答。暫くの間、父は無言で目を瞑ったあと「半年なら、やる事があるな」と、残りの数ヶ月で拙僧に、お寺の運営の仕方を様々伝授。その間、好きな時代劇を見ながら、人生初めてのゆったりとした日常を。

病床の父に、拙僧「父さん、えろうリラックスしとるが、死ぬのが怖くないんかい」と尋ねると「お前から『あと半年』と聞かされた時は、そりゃ、怖かったくさ。初めて体験する事は、何にしても不安なもんだ。が、何故か、一瞬の内に、その不安が消えた。『生きてる内に、お前にお寺の全てを伝授しとかにゃ』と思ったからかな。いいか、親が死んだくらいで、お寺の業務を滞るような事をしちゃならんぞ。わしの命乞いの祈願もするな。人間、ジタバタしたって、死ぬ時は、死ぬ。死にとうても、死ねん。人間は病気じゃ、死なん。必ず寿命だ」と。数百人の葬式に携わり、その何倍もの人の『生き死に』に関わってきた、父の納得の言葉だった。

父の祥月命日の7月8日といえば、昨年(令和4年)他界された、安倍晋三元総理の祥月命日もこの日にて。今年が1周忌ですね。思えば、演説を急遽、奈良に変更した為に命を。あの時、奈良に行かなければ、とも思ったが、これもまた、寿命だったのかな。納得の出来る事ではないが。ある檀家のご主人は、家を出て、数十メートル先の横断歩道で車から突っ込まれて、絶命を。家を出る時に奥さんが「ちょっと、あなた」「なんや」と僅か数秒のやり取りがあったら、ご主人をひいた車は通り過ぎていたはず。何故、ピンポイントで、そこにいなければならなかったのか。そう思える事例が、檀家、知人の中には、少なからずあります。なりゃこそ、人は『1日一生』と、この命は『今日1日の命』と思って、悔いのない生き方をせねばならんですよね。

安倍さんの命日に読者男性から、次の様なメールが。「7月8日は、安倍元総理の1周忌でしたね。住職が法話の中で偶に使われる言葉、映画『仁義なき戦い』で菅原文太さんが松方弘樹さんに『狙われるもんより、狙うもんの方が強いんじゃ』と放った言葉。安倍さんがテロに遭った時、この言葉が私の脳裏に。日本はこの事件を今後において、教訓に出来るのだろうか、住職」と。「映画『ゴットファーザー』で、アルパチーノさんが『この世でただ1つ、確かな事は、人は殺せる』と。恐ろしい言葉ではあるが、この言葉は真実。狙われる(攻撃される)を前提に、対応策を講じておくしかないかな。人間は1度死んだら、2度と生き返れないですもんね。話を戻しますが、実を申しまして父は、お寺の息子ではなく、俗人から住職に。新日本八幡製鐵所に勤務の20代の頃、心臓の病になり、医師から見捨てられ、ただ死を待つ状態に。その時、今のお寺(金剛寺)に縁があり、精神面を癒された事が、免疫向上に繋がったのか、奇跡的に心臓病が回復を。この事が縁で、父は仏門に。初代住職(父の師僧)は息子、娘が数人いたにも関わらず、何の仏教知識もない、信仰経験もない父に『このお寺は、お前が継げ』と。その頃、父には製鐵所本社(東京)栄転の話が。が、父は、お寺との両立の道を選択する為に、転勤しなくてもよい様に、レントゲン技師の免許を取り、八幡製鉄病院に残った。父が他界した後に、初代住職(弘中和尚)の娘さん2人が拙僧に「博ちゃん(拙僧の俗名)、學(拙僧父の俗名)さんが、金剛寺の後継を了承してくれたお陰で、ボロボロだったお寺が、今の様な立派なお寺に。もし、私達(初代住職の子供)の誰かが継いでいたら、間違いなくお寺を潰していたでしょうね。父(初代住職)はそれを、見抜いていたんだと思います」と。この娘さん2人は長年、月に1度は必ず、お寺の方に参拝を。が、2年前から全くお姿を見せなくなりました。そろそろ無理が出来ない年齢に。恐らく、もうお体の方が、自由が効かなくなられたんじゃないかと。

これは余談ですが、初代住職といえば、次の様な不思議な話が。拙僧の祖父が、83歳で他界した時、通夜も葬儀もお寺の本堂で。葬儀が終わり、出棺となった時、130石段の下の山門に霊柩車が横付けを。拙僧が爺様の位牌を持ち、運転席の隣に座ると、運転手さんが「ここのお寺の初代住職は、弘中、って言いませんでしたか」と。「そうですよ」と返すと「実は私、その弘中住職の孫なんです」と。これには驚いた。その男性曰く「5歳の頃まで、爺ちゃんのお寺(わが寺)には、度々遊びに来ておりましたが、今日は、かれこれ50年振りです。お寺の荘厳は随分と変わっておりますが、この石段を見て思い出しました。実は今日、私は非番で、家で寝ていたところ、会社から『運転手が足らん』と電話があり、急遽こちら(わが寺)へ。偶然とはいえ、何という縁なんでしょうね。爺ちゃん(弘中住職)が『お前が迎えに行ってやれ』という事だったのかな」と。縁というものは、ほんと、凡人には、計り知れないものがありますよね。

【夫婦善哉】

2ヶ月前に、ご主人と死別された奥様が「恐らく最後になるであろう入院が決まった時、夫が『お前が毎日、苦にならずに来れる場所がいい』と、近所の病院を選択。私の顔が毎日見たいと。そんな事を言ったんですよね、住職」と。対し「拙僧の知る限りでは、最期を迎えた旦那さんの大半は、同じ事を言いますよね。旦那さんに限らず、奥さん達もそうかな。子供では、心の穴は、埋まらないんでしょうね」「夫が他界後、娘と孫が毎日の様に。有難いですけど、毎日は、ほんと邪魔で。夫を思いながら、1人で静かに過ごしたい時もあるんですよね。だけど、今、考えたら、夫は定年後、毎日家にいたのに、邪魔と思った事など、1度もなかったですね」と。

【次の話は、昨今の話】

読者20代女性が「住職、私の婆ちゃんが危うく、電話での『オレオレ詐欺』に騙されるところだったんだよ。他人事だと思ってましたが、とうとう身近にきましたね。その時、側に私がいたから、難を逃れる事が出来たが、お年寄りは引っ掛かるよね、巧みだもん。何か引っ掛からない方法がないかな、住職」と。「昨今、A I の問題が既に、起こってるってね。人間を観察して学習し、その人になりきり、犯罪を犯してると。特に、有名人が出汁に使われてるってよ。学習出来る参考資料が数多にあるもんね。A Iで作られた外国の有名人が映像で対話をしてきて、数千万円を騙し取られた、なんていう話もあるとか。人間観察で唯一、A I が真似を出来ないのが、お笑い、だって。あの『間の取り方』の真似は、無理なんだって。拙僧の法話読者から『住職は、お笑いが好きなんだってな。あんな低俗なものを見てるのか』と偶に言われる事があるが、低俗って、そりゃないよね。様々法話の参考になるんだよね。話されている内容も、リアルタイムのものだし。人を笑わせるって、技術がいるんだよ。難しいんだよ。人を怒らせるは、簡単だけどね。私達坊主は法話の時、聞き手を眠らせたら、負けです。如何に良か話をしても、聞き手を退屈させたら、なんにもならん。お笑いの人達は、凄いよ」と。

続けて拙僧、この読者の女性に「話を戻しますが、オレオレ詐欺を回避出来る方法ですが、家族を装っての詐欺なら、古に習って『山、川』とか『月、波』とか。それじゃ、簡単過ぎると思うなら、例えば、拙僧の父の命日が、平成15年7月8日である事より『1、5』その後に『7、8』と掛け合いを。つまり、家族で合言葉を決めておけば、回避出来るかな。最新科学のA Iで、本人そっくりの映像を作って仕掛けてくるなら、こっちは、古代からの手法で対応してやれ、かな」「その手、頂きます」と、この読者の女性が。

天徳山 金剛寺

ようこそ、中山身語正宗 天徳山 金剛寺のホームページへ。 当寺では、毎月のお参りのほかに、年に数回の大法要も行っております。 住職による法話も毎月のお参りの際に開催しております。 住職(山本英照)の著書「重いけど生きられる~小さなお寺の法話集~」発売中。