令和元年10月 金剛寺住職短文法話集

 「坊主の説法と結婚式のスピーチは短いほど有難い」と。但し、短文法話の中には必ず含み言葉が。講演会でよく次の様な質問を。「法話によって参加者全員が抱える問題を網羅することが出来ますか」と。対し私は「法話は話し手より聞き手の受け取りの方が大事。法話は数学で言うところの『方程式』に同じ。その話に自身が抱える問題を当てはめ、自らが解決の糸口を導き出していく為の道具にするもの。これは法話に限らず、人と人との関係全てにおいて言える事にて」と説明を。その様に理解して頂きますれば、この短文法話も何かのお役に。

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0378   「能ある鷹は爪を隠す、と。能(力)がないから威勢に頼る」

若者が彼女を横に乗せ、事故を起こし廃車に。が、運良く2人共軽傷。余程肝を冷やしたのか、お寺へお礼参りに。「免許を取って嬉しいも、彼女にいいとこ見せたかったも、わかるよ。が、本当に上手い運転手というは、同乗者に恐怖感を与えないもんだ。常日頃からそういう運転をせい。車は常に危険物というを自覚しろ」と。

0379   「講釈言い、文句言いは、まず動かん。動く人間は理屈の前に行動」

禅宗の僧侶話は大変興味深い。理趣経と観音経を勉強したいなる老僧が「時間がない」と経本を後方に放り投げ、遠くに飛んだ方を選んだと。「どちらでもいいから迷うんだ」と言って。90歳越えの老僧が突如英会話の勉強を始めた。「遅いですよ」と笑う若僧に「次に生まれた時に役に立つだろ」と。思わず「いいね」と拍手を。

0380   「人は将棋の駒の如し。自分は如何なる駒の器か、見極めるも大事」

会社研修講演で「藤堂高虎公は将軍への提案書は、必ず複数案を提出。家臣から、議論の余地無きこの提案に、何故複数提出の必要が、と問うと、単数提案が決定されれば、わしの指示に上様が従った事に。複数案からの議論となれば、決定させたは上様。わしの心中など上様は百も承知、と。この絆が盤石の土台を築く」と。

0381   「生活環境全般の見直しが、支障部分の改善になるかも」

少し昔は、未婚者と非母乳育児女性が乳癌発症は圧倒と。が、今はその限りでは。現在は11人に1人の割合。その数字は驚愕。が、1100人中1000人は未発症。必要以上不安を掻き立てるは。「ほんまでっか」情報だが、1日6時間以上家事する女性の発症率は低いと。母性本能の活性が女性ホルモンに良影響なのかな。

0382   「例え命を落としても、恩を仇で返す事だけは」

秀吉公主催茶会場面にて。ハンセン病の大谷吉継公が口を付けた茶器を皆、飲んだ振りして横に。が、三成公だけが口を。関ヶ原にて徳川方に味方と進めていた軍を「三成だけは違うた。引き返す」と吉継公、敗戦を確信していた三成方に見方を。「虎は死んで皮を残し、人は死んで名を残す」と。人の心を動かすは、感動にて。

0383   「原始時代から人間の営みは何の変化も。変わってきたは、使う道具だけ」

経験者の忠告を全く聞かず、事業失敗の若者が困窮してお寺へ。「現在まで残ってる諺等は、時代に関係なく何かしらの教訓になっとる。成功の陰には必ず温故知新、有りかな。古い物を過度に毛嫌いはあかん。加減乗除を基礎に持たんと高等数学は解けんだろ。生後数十年の人間が、数百年分の知識、知恵には到底敵わんよ」と。

0384   「疑いもせず、不平も抱かず、言われるままに。進歩ないよね」

歴史上人物で特に信長公、龍馬さん。タイムマシンでいきなり令和の世に連れて来られても、一瞬は戸惑うかもしれんが、すぐに順応しそうな気がしませんか。考えたら赤子も、いきなりこの世に。見聞きする物は全て新鮮にて。が、疑問を理解し、すぐに吸収していく。まだ持っていますか、好奇心。年齢は老いても、心は。

0385   「突然目覚める人は要注意。周囲が歯止めを。悪信仰の餌食に」

知人老母が「40歳まで先祖に無関心の息子が占い本に陶酔。何とかして」と寺へ。息子に「著者の所へ行って、400年伝統寺院に250年続くわが家の墓が。貴方が悪いと指摘の墓形。壊していいか、と尋ねてこい」と。行くと相談料突き返され門前払いを。「どんな形だろうと先祖さんはそこで安眠されてきたんでしょ」と。

0386   「信者が、老人が、患者が、お金(札束)に見えたら、お終いばい」

親戚一同から懇願され、特養老人ホームを経営のとんでもない家族に「入所されている家族の方々に『私達はこの度、父親を亡くしました。が、通夜にも葬儀にも参列せず、施主の兄に、電報も御霊前も送っていません』と言えるものなら、言ってごらん。どんな反応をされるか」と。わが先祖を粗末にする坊主もいるもんね。

0387   「親の主観に巻き込まれない子供も、たまにいますね。人生は別にて」

常に首席の男の子が普通科ではなく、工業高校進学を希望した。訳を聞くと「英語を中高大10年も勉強し、何割の学生が英会話を。手術も腹を切って中から数学の問題は出てこん。大学の名も社会に出て通じるのは一瞬。僕はやりたい仕事に関する勉強がしたい」と。子供を自慢道具に用いる親への反発も多少はあった様だ。

0388   「突然死も自殺も寿命だが、若い人の死は、悔まれるよね」

人に万歳の年は。が、90越えたら、まあ大往生かな。が、40前後で突然死、これまでに数人。聞くとみな過労死にて。嘗て、大手金融機関倒産の後始末を10年務めた方が。毎日煙草と酒でストレス解消を。血尿検査で即、余命3日と宣告を。全身が癌に。会社は壊れた歯車は入れ替えるだけ。自分の体は自分で守ろうね。

0389   「人間の世界からいつ弱い者イジメがなくなるのかいな。永遠の課題だね」

イジメ問題を抱える学校講演で「徒党を組んで1人の人間を自殺へ追い込んで、何が楽しい。幸せな人生を送りたい、という細やかな権利を奪って、何が面白い。失敗は取り返しの効く物と効かん物が。自殺に追い込んだ者の浅はかな行いで2つの家庭がどん底に落ちる。今ならまだ間に合うから、心当たりある者は止めろ」と。

0390   「その大変さは第三者には。が、親は皆さん口々に、わが子が愛おしいと」

お寺の関係者、血縁者の中にもダウン症や多動症の子供を持つお方が何人か。その子の性格にもよるだろうが、夫婦仲が穏やかで、子供の前では絶対に荒げた声は出さず、空気がゆっくりと流れている家庭の子は、落ち着いているように見受けられる。この親でないとこの子は育てられん、と白羽の矢を立てられたんだろうね。

0391   「昭和20年から64年の間に中絶された命は何と、7000万人と」

若い男女が「水子の供養を」と寺へ。家内が「あの人達、お父さん(先代)の時代にも」と。「何を」と。供養後「心掛けはよか。が、自分は産んでもらっておきながら、わが子の命は奪うか」と叱咤。間も無く2人は結婚を。今では3人の子の親に。その変貌を見て今度は親がお寺に。今でも毎月、おろすおろした子らの供養に。

天徳山 金剛寺

ようこそ、中山身語正宗 天徳山 金剛寺のホームページへ。 当寺では、毎月のお参りのほかに、年に数回の大法要も行っております。 住職による法話も毎月のお参りの際に開催しております。 住職(山本英照)の著書「重いけど生きられる~小さなお寺の法話集~」発売中。