平成29年9月分 金剛寺住職150字短文法話
「坊主の説法と結婚式のスピーチは短いほど有難い」と。但し、その短文法話の中には必ず含み言葉が。講演会でよく次の様な質問を。「法話によって参加者全員が抱える問題を網羅することが出来ますか」と。対し私は「法話は話し手より聞き手の受け取りの方が大事。法話は数学で言うところの『公式』に同じ。その話に自身が抱える問題を当てはめ、自らが解決の糸口を導き出していく為の道具にするもの。これは法話に限らず、人と人との関係全てにおいて言える事にて」と説明を。その様に理解して頂きますれば、この短文法話も何かのお役に。
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0029 「男性は過去の事は。が、女性は何十年前の事でも」
檀家の奥様が面白い話を。夜寝室に入ると主人が幸せそうな顔して能天気に寝ている姿が。それを見ている内に30年前借金で苦しめられた事を突然思い出し「ムカッ」ときて、いきなり枕を蹴り上げ大喧嘩になったと。これには笑ってしまった。私は当年で55歳だが、未だかつて気の弱い女性に出会ったことがない。失礼。
0030 「人は自分の都合で垣根を作っちゃうんだよな。」
キリスト教会の前で手を合わせ、頭を下げておると通りがかりの人から「何故、お坊さんが」と問われた。「住んでいるマンションの出入口でそこの住人とすれ違ったら、例え面識なくとも挨拶ぐらいはしませんか」と。京都の清水寺や奈良の東大寺、観光名所とはいえ人によっては他宗の寺。何を線引きの基準にしてるのかいな。
0031 「出来れば協調性を身に付けて社会へ」
高校講演で生徒に「人の忠告に耳を傾けない人間を子供、耳を傾ける人間を大人と。反抗期は成長段階の印だから自己主張は大いに結構。が、出来たら人に気を使わせる人間を卒業し、気を使える人間に成長して成人式を迎えたいもの。世に「必要悪」という言葉が。悪も善を知る為には必要不可欠。糧に出来て何ぼ、かな」と。
0032 「何の目的があってこの場所に足を」
評判のインド人住職の法話を聞きに他寺へ。どうも意図的に30分遅れて出て来られたようで。「皆さん。この待ち時間に心を仏に向けてたかい。えっ、向けてないって。今まで何してたの。『坊主遅い』とイライラかいな。10円玉を賽銭箱に投げ入れ、山ほどの願いかいな。それで叶う寺があるなら教えてくれ、わしが行く」と。
0033 「自分が好きだからと、人の迷惑顧みぬ人間が何と多いことか」
喫煙者が肩身の狭い時代となって久しい。まあ、仕方ないかな。喫煙に限らず、迷惑を掛けるだろう側の人が最小限にわが欲を抑える努力を。ペット関連も同じ。自分が好きだから皆も好きとは限らん。アレルギー体質の問題もあるし。他人の領域に土足で踏み込んじゃあかん。特に公の場は。得手不得手の基準は人それぞれにて。
0034 「女房殿は何でも話せる大親友にて」
最近子供達から「そんなに母さんべったりで、もし先に逝かれたらどうすんの」とあきれ顔で。「心配するな。母さんの体に温もりが残っている内に追っかけて逝く。母さんがいる場所が父さんの居場所。その時点で俺の人生も終わり。が、願わくば1日でも早く父さんの方が。母さんの死に顔を見たくない」と。あと何年一緒に。
0035 「文句言い、講釈言いは、動かんと相場が決まっとる」
「親の経済力で大学を断念した」と愚痴を言いに来た若者に「私の友人でバイトの掛け持ちと奨学金だけで大学を卒業した人間が。加えて親へ毎月5万円の仕送りも。そうなれば当然の事ながら留年を。が、卒業後一流企業に就職。面接でその根性を社長が評価して。人生やる気さえあれば何とでもなる。この友人は女性だよ」と。
0036 「申(猿)年は歴史を見ると世相が荒れる年が多いらしい」
干支の「申」の横に「人偏」付けたら「伸」という字に。伸びる時期は活発となるが、行動が得手勝手になりがち。が、力を分散せず一つになれば大きな力に。これより想像出来る動物は、ボスを中心に群れを成す「猿」かな。申年の人、性格に身に覚えは。「見ざる聞かざる言わざる」の言葉は、協調力を発揮する為の格言にて。
0037 「反抗しないのは、親に気を使って生きていると何故気付かん」
先日自殺した高校生の葬式を。「家族葬で」との遺族の申し入れを「寂しく死んで逝った子を、また寂しく送るつもりですか。何歳であろうと一生は一生。この子はこの子なりに一生懸命生きてきたはず。最期がこんな結末だからといってこの子の生きた時間全てを否定する様な送り方はして下さいますな」と。多数の送り人が参列。
0038 「何にしてもそうなる事情はある。が、犠牲はいつも子供達」
講演会で「私も10歳の時に親が離婚したが悪い事ばかりじゃなかった。おかげで母親のする仕事は全て出来るようになった」と。この講演に参加していた同じ境遇の中2の女の子が手紙で「不貞腐れていた自分が恥かしい。前向きに考えます。唯、ひと言だけ。親は子供が物心ついたら勝手に離婚して、勝手に再婚するなや」と。
0039 「15歳の子供が背負わされているもの」
夜間高校の生徒達へ「命」についての法話を。講演後15歳の男の子が帰途につく車のそばにまで寄って来て「僕は9歳の時にお母さんを癌で失いました。友人の中に自分の母親の悪口ばかり言う人がいます。僕はそれを聞くのが一番辛い。この世に生きてくれているだけでも有り難いのに」と。人は失って初めてその大事さが。
0040 「この国の民はいつからご都合主義の考え方が主流に」
モンスターペアレンツで苦しむ幼稚園での講演会後、親の感想アンケートの中に「子供は親の所有物じゃない。手足を奪うような育て方はして下さいますな、と言われて涙が出そうになりました」とのご意見が多数。モンスターといわれる親達も、時代の犠牲者なのかも。自分の都合でしか生きられない様に育てられたのかな。
0041 「自らを土俵際に立たせ、前に向かうしかない環境に」
何年も赤字の大手スーパー社長が先祖代々の土地を40億円で売却。借金を返し、残ったお金が400万。内200万は苦労を掛けた奥様に。残りは「今回だけはすまんが、神頼みをさせてくれ」と16店舗各々が立つ場所の八幡様に全額賽銭に。現社長はその時大喧嘩になったと。だが、間違いなく今の繁栄は、そこが原点だと。
0042 「為せば成る。為さねば成らぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり」
明治の教育者森信三さんが「出会う人には必ず出会うようになっとる。それは一瞬早くも、一瞬遅くもなし」と。この言葉を2年間、親友と絶交状態になっているという男性に。「一休さんが遺言で『成るように成る。心配するな』と言ったが、成るように成らん時は、成るように努力せんとあかん。この縁、捨てていいんかい」と。
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