平成30年9月分 金剛寺住職短文法話集

 「坊主の説法と結婚式のスピーチは短いほど有難い」と。但し、その短文法話の中には必ず含み言葉が。講演会でよく次の様な質問を。「法話によって参加者全員が抱える問題を網羅することが出来ますか」と。対し私は「法話は話し手より聞き手の受け取りの方が大事。法話は数学で言うところの『公式』に同じ。その話に自身が抱える問題を当てはめ、自らが解決の糸口を導き出していく為の道具にするもの。これは法話に限らず、人と人との関係全てにおいて言える事にて」と説明を。その様に理解して頂きますれば、この短文法話も何かのお役に。

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0196   「人間老いたら男性の顔は、ほぼほぼゴリラか犬に。女性は亀になる」

檀家主人が法要後の慰労会で「結婚当初は痩せていた妻が数十年を経て別物に。契約違反だ」と笑いを提供。返す刀で奥様が「誰が禿げ散らかしていいと言ったか」と反撃。そこに第三者の男性が割って入り「まあまあ。人は変化するから面白い。特に顔なんてものは、男性が老いたらほぼゴリラか犬に。女性は亀になるよ」と。

0197   「責任を背負う立場の者と背負わない立場の者」

大学卒業後就職先の対応に我慢が出来なくなり「学生時代のバイト先は、和気藹々で良かったのに」と愚痴を。「そうかな。当時は「学生だから」と多少失敗しても許してくれていただけじゃないのかな。社会人としてそのバイト先に就職したら、その頃の対応とは違ってくると思うがな。会社を背負う立場になるからね」と。

0198   「お寺へのお布施は、国の血税と同じ。1円たりとも粗末には扱えん」

月6万の年金で一人暮らしする老婆の家へ仏壇参りに。見ると太陽の光が差す窓際に水を入れたヤカンが。尋ねると「ああしとけば温もる。その後、火に掛けたらガス代の節約が。仏さんのただ使いは出来んもんな。葬式代くらいは貯めておかんと」と。わが子達には常にこの話を。「この様な尊いお布施で我が家は生活を」と。

0199   「子は親の言う通りには動かん。親のする通りに動く」

檀家男性が「痴呆で老人病院に入院した祖母の主治医中国人医師が「孫さんや。この病院には親を放り込んで何年も見舞いに来ん親不孝者が何人もおる。今に見とれよ。今度は自分達の番ぞ」とお会いする度に怒りを。その会話を息子が聞き「祖父母を大事にしない親の姿を見て子は育つんだからね。そりゃ、そうなるよね」と。

0200   「夫婦のことは、夫婦にしかわからん」

知人女性が「祖母が私に「実は4歳の時、海難事故で両親を同時に失い奉公へ。毎日涙する私にそこのドラ息子が「心配するな。俺が一生お前を守ってやる」と。好き放題に生きてきた爺様だったが、生涯支え続けた。私は一生分の幸せをその一言で貰ったんでな」と初めてこの話を。恐らく、今の私の状況を祖母は察して」と。

0201   「意地の張り合いが、夫婦の間を不仲に」

30年間夫婦に会話のない奥さんが縁あって四国に。巡拝中一切主人に連絡を。嫌がる奥さんに「このご縁を許して頂いて有難うございます。1週間も不自由をさせて申し訳ありません。明日戻ります」とメールをしなさいと。次の日主人から「了解」と返信が。帰宅すると主人の態度が一変。さて、何が原因だったんかいな。

0202   「寿命に祝いの言葉、寿、が使われるのは」

白木位牌に「行年、 百何歳」と墨書きしたは、今までに4人だけ。何歳であろうと人に「万歳」なる歳はない。只、最期に皆々が笑って送ってやれる人は、充実した人生を歩んできた証拠。72歳で他界した父の葬儀の折、父の友人僧侶が「おめでとう」と最高の労い言葉を。「寿命」に「寿」が付くは、そういう意味合いかな。

0203   「責任を負いたがらんね、昨今の人達は」

3年毎に転職する30代男性が親に連れられ相談に。聞いておると就職して1、2年は平社員だから居心地が良いと。が、3年目に入ると当然責任と結果の要求が。そうなると嫌気が。で、辞職。どの会社も給料が低過ぎると文句だけは。転職の度に初任給になるから当然の事。履歴書見れば根性なしも一目瞭然。はてさて。

0204   「失敗は成功の基、だね」

大阪伊丹は日本清酒発祥の地と。その酒が出来たきっかけが実に面白い。酒屋を解雇された者が夜中酒蔵に忍び込み、腹いせに桶の中へ灰を投げ込んだことで翌朝濁りが取れて透明に。恐らく世の中には発見されてない事が山ほど。何がきっかけとなるか誰にも分からん。今の常識は、今時点での常識。決め付けに新発見はない。

0205   「腹一杯じゃ、次のご飯は入らん」

結婚3年目に亀裂が生じた夫婦に「真言宗に「理趣経」なるお経が。説かれている内容を簡単に説明すると「全ての欲をまずは受け入れよ。その欲を乗り越えた時、本当の悟りが身に付く」と。人間関係も同じかな。相手を受け入れる事で修復の道も開けるかも。「天に順う者は存し、逆らう者は亡ぶ」という言葉もあるよ」と。

0206   「知らぬ間に追い抜かされていたとは」

10年前に交流のあった人を「この人は、こんな人」と今を確かめもせず、当時のまま評価する人がいる。ところが10年経てば人は変わる。未熟だった人が懸命の努力で一角の人物に、というケースは方々で耳に。今現在プロという人も、初めは全員がど素人にて。成功者は皆「人事を尽くして天命を待つ」が基本姿勢かな。

0207   「人に認めてもらえる人生とは」

番組でアナウンサーが北野たけしさんに「人生の終わりを迎えた時、何を一番認めてもらいたいか」と。その質問、私だったら「何を」ではなく「誰に」かな。やはり亡き父親かな。その為には親の残した業績に泥を塗らない事が第一。家康公が秀忠公に「天下は取るは難しい。が、守り続けるはもっと難しい」と。確かに。

0208   「人は生き様が、死に様に」

お寺の境内地では「カナブン」がひっくり返った状態で絶命している姿を度々目に。前世、助けて貰った恩を仇で返した天罰が今ここで課せられて、と勝手に想像を。同様の人を何人も見てきた。時折「何の為に人は生を」と思う事が。人は皆、死ぬ為にこの世へ。これは真理。だからこそ如何に悔いを残さず死ねるかが大事。

0209   「大人の拘りと子供の夢は別」

わが子が幼少の時、毎年檀家がクリスマスケーキを。「えっ、寺が」と驚く人も。が、父も私も子供の夢まで奪う様な考え方は。本来、師走25日は誕生日ではないと。西暦350年ローマ皇帝ユリウス1世が国民をキリスト教に改心させる為、伝統の農耕神祭に「その日である」と生誕宣言した事が由来とか。まあ、拘る必要は。


天徳山 金剛寺

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