平成30年10月 金剛寺住職短文法話集
「坊主の説法と結婚式のスピーチは短いほど有難い」と。但しこの短文法話の中には必ず含み言葉が。講演会でよく次の様な質問を。「法話によって参加者全員が抱える問題を網羅することが出来ますか」と。対し私は「法話は話し手より聞き手の受け取りの方が大事。法話は数学で言うところの『方程式』に同じ。その話に自身が抱える問題を当てはめ、自らが解決の糸口を導き出していく為の道具。これは法話に限らず、人と人との関係全てにおいて言える事にて」と説明を。その様に理解して頂きますれば、この短文法話も何かのお役に。
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0210 「仏さんはお金なんてもの欲しがらん」
世の中は大なり小なり全て需要(必要とする人)と供給(提供する人)の関係にて。信仰では、この関係が少々困った問題を引き起こす。お金での解決は無理なのに「お金さえ出せば何とかなりゃせんか」と、それこそ一部の信仰指導者の格好の餌食に。お金で何でも解決出来るなら、金持ちは皆幸せ。勘違いしたらあかん。
0211 「人の感覚は当てにならんもの」
人の目ばかり気にする若者に「番組で有名女優さんの指輪を見て司会者が絶賛。対し、これ千円よ、と。寺にある一輪挿しを見て檀家が、高いんでしょ、と。これ500円だよ」と。付ける人によっては、置く場所によっては、安物でも高価な物に見えてくる。人の見る目なんてその程度。人の評価など気にする事はない」と。
0212 「歳を取っての寂しさは辛いかな」
知人住職が「50歳を過ぎてから度々思う事が。晩年を迎えた時、どんな光景が目の前に。女房殿は生存してくれてるのかな。健康状態はどうなのかな。子供達家族はそれぞれ幸せなのかな。思い悩んでも成る様にしか、してきた事の結果、は重々承知。が、仕事柄、様々な人間模様との遭遇から色々考えさせられる事が」と。
0213 「人間50年下天のうちをくらぶれば夢、幻の如し」
百年後には、今ある地球上の命は全て交代。財産も家も土地も、最愛の家族も、自分の物じゃないから全て置いてあの世へ。それを人間は百も承知でありながら過度の執着を。過ぎ去った昨日も、まだ見ぬ明日も、今日ここにないのに悔やんだり、望んだり、と。この執着を抑えられたら、眼前にどんな世界が見えてくるかな。
0214 「親が姿を消しても、受けた恩まで消える事はない」
昨今、時折思う事が。「初めてわが子を授かった時。その子が初めて言葉を出した時。歩いた時。反抗してきた時。挫折する姿を見た時。結婚をした時。わが子の子(孫)が生まれた時。自分の弱い姿(病気など)をわが子にさらした時。親はどんな思いだったんだろうか」と。一つ一つ経験して少し親の心がわかった気がする。
0215 「一番大事な物は、一番身近な所に」
人は誰1人として順風満帆の人生を続けられる者などはいない。威張り散らしていても自分の力だけではどうしようもならん場面は必ずやって来る。その時に泣きつける場所(人)の確保は出来てるかい。その場所を今現在、感謝し大事にしてますかい。困った時だけ、必要な時だけ、泣きついて助けてくれるのは、家族だけ。
0216 「人間は育ちが大事。無理矢理は禁物」
保護者会で「わが子の成長を見守る親心を表す言葉に「這えば立て、立てば歩めの親心。わが身につもる老いを忘れて」が。生まれる前は「男でも女でも健康体であれば」と。が、生まれた途端「末は博士か大臣か」と重圧を。期待をかける気持ちは。が、トンビは鷹は産まん。鷹の様に育つ事はあっても。無理強いはあかん」と。
0217 「また会えるかな。先に逝った人達に」
檀家男性が「時折、他界した父母、わが子等、今どこで何してるのかな、と思うことが」と。「先祖の供養は大事、浄土はある、と説く拙僧もそう思うよ」「えっ、そうなの」「死んだことないからね。だけど、また会いたいよね。会える場所があって欲しいよね。色々と積もる話も」「同感。死んだら終いよ」は、あまりにも哀しい。
0218 「歳を取れば取るだけ、孤独は寂しい」
檀家お年寄りの会話を聞いていると、改めてお寺の存在価値を自覚させられる。言われるには「老人ホームや町内の寄り合いに行くと、特に一人暮らしの方が「ここ以外に行く所がない」と寂しそうにしている。そう思ったら私達は幸せ。お寺に行けば住職や奥さん、檀家同士の触れ合いがある。孤独じゃない、を感じる」と。
0219 「糞も味噌も一緒にしたらあかん」
教育委員会講演で「知人教師が職員室でイジメを受け精神疾患で休職を。イジメ禁止を指導する先生方が。これって頻繁にあるんですか。国から給料(税金)を貰う先生が、国歌も歌わず、国旗掲揚に起立もせず、如何に恩という心を生徒に指導を。私共の布施は全て寺収入、住職はそこから給料を。寺や仏を敬い、礼拝は当然。
0220 「選んだ道の代償は、必ず後々やってくる」
2017年最新調査では、彼氏、彼女のいない男性70% 、女性60%なる結果が。理由は、面倒臭い。自由が欲しい。結婚したくとも縁が、等。まあ、この様な状況は今の世に限った事では。唯、人間は晩年、必ず自力で動けなくなる時が。その時の後悔有無の環境は自分が作り上げてきたもの。未婚、既婚に限らず、ですね。
0221 「幼いからとて、理解してないとは」
檀家男性が「不仲が原因で家庭崩壊から親が離婚。幼少時のその記憶、鮮明に脳裏に。唯、それに対し恨みや不満を抱いた覚えは。が、結婚して女房殿から「パパの子供の頃の写真、笑ってる顔が一枚もないよ」と。「えっ」と思わず見返した。『崩壊家庭を受け入れてたつもりなのに』と。こんな家庭環境、わが子だけには」と。
0222 「何が悲しゅうして、わが子に悪さを」
男性が「親が悪霊」言われたと相談に。「貴方は出身地や親や家族に特別な誇りがあるかい」と問うと「それ程は」「なら、それを貶されたら」「自分が貶す分はいいが、他人に貶されたら腹が立つかな」と。「なら何故、わが親を悪霊、化け物扱いされて、腹を立てんかい。第一、わが子、わが孫を祟る親などおらん。失礼な」と。
0223 「人の嫌がる仕事をやらずに人の上には立てん」
負け戦での「殿(しんがり)」は最も重要な仕事。殿様を無事逃がす為、戦場に踏み止まり敵の追っ手を食い止める役目。1570年、金ヶ崎の戦いで浅井、朝倉軍から信長公を逃した秀吉公の話は有名。死を覚悟の危険な仕事だが、成功すれば一気に出世街道を。いつの世も、人の嫌がる仕事をやった者だけが、上のステージに。
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