平成30年11月 金剛寺住職短文法話集


 「坊主の説法と結婚式のスピーチは短いほど有難い」と。但しこの短文法話の中には必ず含み言葉が。講演会でよく次の様な質問を。「法話によって参加者全員が抱える問題を網羅することが出来ますか」と。対し私は「法話は話し手より聞き手の受け取りの方が大事。法話は数学で言うところの『方程式』に同じ。その話に自身が抱える問題を当てはめ、自らが解決の糸口を導き出していく為の道具。これは法話に限らず、人と人との関係全てにおいて言える事にて」と説明を。その様に理解して頂きますれば、この短文法話も何かのお役に。

金剛寺ホームページ  https://kongouji.amebaownd.com

金剛寺ツイッター   https://twitter.com/kongouji093

金剛寺フェイスブック https://www.facebook.com/天徳山-金剛寺-1543297575974719/

0224   「縁は異なもの味なもの。犬も歩かにゃ、棒にも当たらん」

40年前、介護を要する腰痛妻と主人が9回目の四国巡拝に。引率者と主人が会話中、妻が石段から落下。「終わった」と覚悟し急ぎ走り寄ると妻が「腰痛が消えた」と満面笑顔で。この話を檀家にすると「お大師さんも人が悪い。勿体振らずに1回目で転ばせてやればよかったのに」と。継続してたからこそ、貰えたご縁かな。

0225   「新社会人に、力に準じて支払われるのが、給料だよ、と」

檀家息子に「車の運転を職業にする人は、ドライブを趣味にする人など。大工を生業とする人は、日曜大工を趣味にする人など。人が趣味と楽しんでいる物を天職としている人は数多に。ならば、趣味と仕事の差は、何。それでご飯が食べれるかどうか。お金を支払う側の人達を納得させられる技量があるかどうか、だよ」と。

0226   「そんな成功例を言われても、と。確かに。が、そんな成功例もある」

一流街道を歩んだ若者が就活で人生初の挫折。結果、何年も引き籠りに。「君な、人は何歳でスタートしても遅くない。自分で足を止めない限り、第三者が君の足を止める事はない。挫折を繰り返し、道を見つけ出した人は数多に。福田康夫さんは54歳で初当選し政界入り。その17年後、総理に。そんな成功例もあるよ」と。

0227   「可愛がるばかりが、愛情じゃなかですばい」

江戸時代、臨済宗に盤渓(ばんけい)なる高僧あり。お寺の庭に鹿が入り込む度に、竹で追い払っていると信者が「何故、そんな無慈悲な事をなさる」と問うと「ここで追い払っておかねば、鹿は人に慣れて警戒しなくなる。そうなると最後は、悪い人間に捕まって殺されるじゃろ」と。本当の愛情って何。昨今の親への警鐘。

0228   「嘘は必ず露見する。後々必ず結果が出てくるから」

檀家から「住職は子供さん達に禁止教育をしたかい」と問われる事が。対し「私はわが子には、どんな小さな嘘でも嘘は嘘、と、これだけは厳しく教育を。人が動けば必ず白波が立つ。そこに人の数の倍の目が注がれる。嘘や護摩化しを隠し通す事など皆無にて。それに嘘は必ず人を巻き込み、迷惑を掛ける事になるから」と。

0229   「地球が病気になれば、その中で生きる生物も自ずと」

近年「地球が病気に」と感じませんか。そりゃ、体の中で核実験され、体内の栄養分(油、ガスなど)を抜き取られ、免疫の源(海)を汚され、その源が絶対的に必要とする山(森)を次々に削ぎ取られ、結果、自然治癒力が低下。人為的な天変地異が起こっても、何ら不思議な事ではない。その結果の報いを。自業自得だね。

0230   「何かを得る為には、何かを捨てにゃならんは、世の習いにて」

戦後復興を担った時代の人達は凄い。大戦でボロボロにされたこの国を僅か30年で世界第2位の経済大国に。日本国民の勤勉さは他国に類を見ない程尊敬に値する。唯、夢と金をひたすら追いかけ、大事な物を置き忘れてきたも事実。宗教界も「制欲」を説きながら、現世利益を高らかに掲げ人の欲を推進。どこかで歯止めを。

0231   「個人主義も、ほどほどにせにゃ」

檀家老婆が「昨今、この国は「自分さえ良ければ」が横行。いつしか大家族が崩壊し、核家族に。その形態が一人一人の勝手な行動を生み出し、家庭崩壊を。向こう三軒両隣の縁は薄れ、町内会は形だけ。隣人の顔すら知らず、個人主義が溢れかえり、組織集合体が軒並み総崩れに。その内自分勝手同士が潰し合う世の中に」と。

0232   「人間だけが地球で生きてるわけじゃない」

高校生が「住職。地球上で人が生活を許されている領域って、自力呼吸可能範囲と考えたら、上は歩いて行けるエベレスト8988mかな。下(海底)は素潜りが出来る深さかな。何にせよ、人が踏み込んではいかん領域ってあるよね。どうしてもその領域に用事があるなら、そこで生きる命に迷惑を掛けたらあかんよね」と。

0233   「人を叩けば、いずれ叩き返される。窮鼠猫を噛む、ばい」

人類は大自然の中では全くの無力。地球は人間だけのものと高飛車に構え、圧倒的に多い他生物の存在を無視し、好き放題やってきたツケが大自然の報復という形となって今。因みに人間を殺している第一位は蚊、第二位は人間。そして第五位が犬、というは何か意味深さを。今一度人間は「分相応に生きる」という意味を真剣に。

0234   「仲が良い内はいいが、一度こじれたら隣人は、大変」

福岡の田舎町で地鎮祭の最中、隣家で爺様同士の怒鳴り合いがおっ始まった。どうも置いた農具が僅かに境界線を越えたらしい。鍬を振り上げて威嚇し始めた。「そんな事ぐらいで」という話だが、恐らく積年の恨みがあるんだろうね。隣同士は利害関係が直だから、ちょっとした事でトラブルに。国家間も隣国ほど難しいかな。

0235   「取り返しのつかぬ失敗をする前に」

法要後の法話で「山門から本堂まで石段130の間に電柱は何本立ってるね」と質問を。参拝何十年選手でも自信を持って答えた人非ず。人は常日頃の生活の中で意外と見落としているものは多い。住み慣れた家で段差につまずき大怪我、毎日接している子供の変化に気付かず、などのケースは数多に。人は「慣れ」ほど、危険。

0236   「甘えられる相手がいる間はいいが」

結婚後、ころっと態度急変の檀家若者に「奥さんに聞いたが、シャンプーが空だと文句を。トイレットペーパーがないと文句を。風呂が沸いとらんと文句を。だそうだな。全て使う前に自分で確認出来るものばかりだな。文句言いは、自分以外の誰かが動くもんと勝手に決め付けとる。人を当てにするから文句が出るんだ」と。

0237   「般若心経の教えの一つ」

人間は「目耳鼻口体心(六根)」の道具を使って動く。この6道具にはそれぞれに「好き、嫌い、どちらでも」があり、更に「綺麗、汚い」が。「好きだけど、汚い」など。人はこの6×3×2=36道具で動いている。過去も現在も未来も。つまり36×3=108、これが煩悩。除夜の鐘はこの煩悩を「落とせ、落とせ」と叩く。

天徳山 金剛寺

ようこそ、中山身語正宗 天徳山 金剛寺のホームページへ。 当寺では、毎月のお参りのほかに、年に数回の大法要も行っております。 住職による法話も毎月のお参りの際に開催しております。 住職(山本英照)の著書「重いけど生きられる~小さなお寺の法話集~」発売中。