平成31年1月分 金剛寺住職短文法話

 「坊主の説法と結婚式のスピーチは短いほど有難い」と。但し、短文法話の中には必ず含み言葉が。講演会でよく次の様な質問を。「法話によって参加者全員が抱える問題を網羅することが出来ますか」と。対し私は「法話は話し手より聞き手の受け取りの方が大事。法話は数学で言うところの『方程式』に同じ。その話に自身が抱える問題を当てはめ、自らが解決の糸口を導き出していく為の道具にするもの。これは法話に限らず、人と人との関係全てにおいて言える事にて」と説明を。その様に理解して頂きますれば、この短文法話も何かのお役に。

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0252   「落ち込んでいても始まらん。受け入れないと、越えられない」

江戸時代の禅僧良寛さんが「死ぬる時は、死ぬが宜しき。災難に遭う時は、災難に遭うが宜しき。病気になる時は、病気になるが宜しき」と。「まずは受け入れる事こそ大事、そうする事で先の一歩が見えてくる」と。「さあ、どう死のう。さあ、どう向き合おう。さあ、どう立て直そう」とね。禅宗らしい物の考え方、好きだな。

0253   「10年経てばそれなりの将軍に、と秀忠公も」

源頼朝公死後、奥方の里、北条氏の権力争いに巻き込まれ、頼家公、実朝公と続いて非業の死を。子供本人に力がなくば、親に力があっても。「長者三代続かず」の習いは時代に関係なし。先代(父)は他界する10年前にお寺の全権を何も出来ない私に渡し、後方で支援を。お陰で足元固めが。代替わりは親が元気な内が最良。

0254   「1日は1日、24時間は24時間、だが」

昨今は、10月に入ると早々にクリスマスの準備を。過去のCMに「狭い日本、そんなに急いでどこへ行く」とあったが。人は全員「死」に向かって歩いとるんだから、自らが時間を引き寄せる様な事せんでも。時間経過は変わらんが、感覚的にね。第一、慌てたら失敗も喧嘩も多くなるしね。もそっとゆっくり歩きましょうや。

0255   「職に限らず、今日だけ、今日だけ、の積み重ねが招いた今」

法要後法話で「英国の番組で、飼い主の自己満足から餌を与え過ぎ、肥えてしまったハリネズミにダイエットさせる、という企画が。人間は自主規制しようと思えば何とか。が、飼育動物は、ね」と。すると参拝のご主人が「規制出来ん者は冷蔵庫や目立つ所に、ちょっと待て。その一口が豚の元、の張り紙を」と奥様に目を。

0256   「後の祭り、と、ならぬ為には」

家康公長男の信康公が謀反の疑いで信長公の逆鱗に触れ、20歳で切腹を。「これ程に短い命なら、もう少し違った生き方が」と家康公が嘆いたという話が。私の近辺でも「こんな結果になるなら、子供の希望に沿ってあげればよかった」という親の後悔はよく耳にする。子供は親の所有物、という観念は捨てないと、取り返しが。

0257   「親の遺してくれた最高の宝は、人の縁」

父親と死別した男性に「親の他界で失う物も大きいが、同時に得られる物も。但し、得る事が出来たらの話だが。特に、親の存在の大きさを改めて感じるは、人の流れかな。亡くなった途端、潮が引くように人が離れていく。戻って来てくれるは、親の姿が子の中に見え始めてから。この戻ってきてくれた人達が親の残した宝物。

0258   「女房殿は何でも話せる大親友にて」

この歳(55)になると、時折思う事が。「今、突然生き甲斐である女房殿が先立たったら、全ての生きる意味を失ってしまうな」と。懸命に仕事をするは女房殿の笑顔が見たいが為。人にはそれぞれに大きな支えが。今現在の生活が成り立っているのは誰のおかげか。当たり前のように思っている物が、本当は一番大切な物かと。

0259   「恵まれ過ぎているわが国、日本」

ワーホリ利用で24歳娘がロンドンへ就業に。旅立つ時「取り敢えず決められた2年間を頑張ってきなさい。物が溢れかえり工夫して活かす必要のない使い捨ての国(日本)から、至れり尽くせりでない国へと行くんだ。辛抱出来ただけでも何かしらの知識、知恵を得られて帰って来れるだろう。病気以外は、泣きつくな」と。

0260   「夢を追いかけるは悪くはないが、ほどほどに」

欧州では3月から5月は農繁期、こんな時期に結婚したって、誰も祝ってはくれん。6月なら女神「Juno」も祝ってくれるとの由来から「ジューンブライド」なる風習が。但し、日本では別儀。梅雨の時季に業績伸び悩むホテルがこれを拝借し打ち出しただけ。それを夢見る夢子ちゃん達が。夢を追い過ぎるとは現実が盲目に。

0261   「子供の頃から読書をする癖付けを。読解力が深まる」

昔から「坊主の説法と結婚式のスピーチは、短い程有難い」と。但し、法話に関しては、短ければ短い程その中には含み言葉の存在が。先日、小学3年生の男の子がこの140字法話を読んでその含み言葉を的確に言い当てた。読解力の凄さに驚き。聞くと月に20冊も、それも声を出して耳に入れながら。読書姿勢の本道だね。

0262   「人の最期の場面には、何か不思議な事が」

先日他界した檀家爺様だが、3か月程前より5月29日という日を連呼。その日に旅立った。長年の問題が片付いた翌日に。「言い当てたのかな」と家族の方が。虫の声とはこういったもの。後々その不思議さを感じるもの。こんな話に出くわす度に、一期一会の大事さを思い知らされる。人の旅立つ場面には、不思議話が満載。

0263   「人、物への批判は、経験をしてから、かな」

4年程前の話だが、西日本テレビ15時の番組「タマリバ」に、金剛寺内撮影の1分間法話で半年程出演を。本来法話は聞き手の反応を見て、内容修正しながら話し進めていくもの。松山千春さんがテレビ出演を嫌がってた理由が少しはわかった気がした。スタジオでは1度だけ生で。経験して初めて番組作りの大変さを実感。

0264   「可愛い子には旅をさせよ、今の時代、この様な親には」

京都の伝統芸能家元生まれのアリスの谷村さんが若い頃、所属芸能事務所の経営失敗で収入が入らず、お金に困って親元へ。が、父君は「そうか、頑張れ」の言葉だけ。今考えればその突き放しが、と。大学時代に縁あったサラ金の社長が「人は裸で生まれてきた。やり直させるには丸裸にしてやるのが1番の近道だよ」と。

0265   「子供は作るものじゃない。授かるものにて」

命を授かった者の大事な仕事の1つは、その命を繋ぐこと。その継続のお蔭で今、私はこの世に。結婚決定若者達にはいつも「結婚と同時に子宝の縁も。計画出産はあかん。確信はないが、私の周りでは後々後悔された夫婦が」と。育ててもらった恩は育てて返すが何より。衣食住の恩は世の中に貢献して返すが何より」と。

天徳山 金剛寺

ようこそ、中山身語正宗 天徳山 金剛寺のホームページへ。 当寺では、毎月のお参りのほかに、年に数回の大法要も行っております。 住職による法話も毎月のお参りの際に開催しております。 住職(山本英照)の著書「重いけど生きられる~小さなお寺の法話集~」発売中。