平成31年2月分 金剛寺住職短文法話集
「坊主の説法と結婚式のスピーチは短いほど有難い」と。但し、短文法話の中には必ず含み言葉が。講演会でよく次の様な質問を。「法話によって参加者全員が抱える問題を網羅することが出来ますか」と。対し私は「法話は話し手より聞き手の受け取りの方が大事。法話は数学で言うところの『方程式』に同じ。その話に自身が抱える問題を当てはめ、自らが解決の糸口を導き出していく為の道具にするもの。これは法話に限らず、人と人との関係全てにおいて言える事にて」と説明を。その様に理解して頂きますれば、この短文法話も何かのお役に。
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0266 「人任せは、所詮人任せの人生」
中学生が「放課後の掃除時間が腹が立つ」と。「働き蜂も蟻も、全体の内何割かは怠け者がいるらしい。その怠け者を取り除いてもまた、残りの中から怠け者が出てくると」「へえ、人間界と同じ「誰かがやってくれるだろう」が存在するんだ」「らしいよ。が、人は見てないようで見てるからね。自分が信用を失うだけだよ」と。
0267 「やる事のある人は、人の揚げ足取る暇なんて」
中学生が「うちの学校のモンスター親問題は深刻。親バカじゃなく、バカな親だらけ。世間も部外者なのに報道情報だけで訳も分からずツイッターを通して介入してくる者も。先生方も大変だよ。余程この国の人達は暇なんだろうね。暇だから誰かを虐めの対象にして刺激を求めてるんだろうね。ほんと、平和な国だわ」と。
0268 「世の中は警鐘を鳴らさなあかんものばかり」
欧州で賃貸業する知人が「10年前、男性と思い部屋を貸した人が実は女性だった。「日本と違い、ここはそんな偏見ないよ」と当時。が、退出後の部屋が見るも無惨。精神面に問題が。親に弁償要求すると「成人してる人間だ。関係ない」と拒否を。親の子育て方針と他人を巻き込んだ迷惑問題を混同。この親は高校の校長」と。
0269 「子は親を選べんもんな。逆もしかり」
以前載せた法話で「パパの子供の頃の写真、笑った顔が1枚もないよ」と女房殿に指摘された、という話を。これを読まれた方が「私の主人もそうです」と何人もが。笑顔なき理由は、親の離婚、虐待、家庭崩壊など。私を含め、ご主人達も言われて初めて気付いたと。この法話掲載日は、アクセスが多数。同じ境遇だらけか。
0270 「嘘は必ず露見する。結果が出るから」
欧州で賃貸業する知人が「契約終了後部屋の掃除に行くと高級絨毯の位置が。調べると焦がした部分を隠す様に箪笥の下に。日本の某有名女子大生で親は知人。為にならん、と即連絡を。人は怒った時、追い込まれた時、人が見てない時の行動で本性が。隠し通せるとでも。1度失った信用を取り戻すは大変なんだけどね」と。
0271 「人間は死ぬまで生きとかなあかん。さて、どう生きる」
老人会講演では常に「寿命というは人それぞれ。若くして旅立たれた方も数知れず。歳を取られている方だけが『余りの人生』と言われるは少し違う様な。今生まれた赤子も死ぬまでは余りの人生。が、本来余りの人生なんてもんはない。今ここに命があるというは、何かしらの役目が。いたずらに時間の無駄遣いはあかん」と。
0272 「葬式は会葬者全員で、ご苦労様、と故人に」
過去に老僧に言われた深い言葉が。1つは「親が70を越えたら死ぬ事を考えて継承の準備をしておけ」と。言い当てた様に父は72歳で。今一つは父他界通夜席で「おめでとう。親父様、やっとこの世の役目が終わったな」と。理解無い人は「人が死んで何がめでたい」と。が、父への労いの言葉としては、これ以上のものは。
0273 「人を褒めるときは人前で、叱る時は陰で」
番組「ナカイの窓」で旧局アナが「電話取り次ぎの時「3番にお電話」の「3番」の発音が悪い、と訂正なるまで上司がその電話の応対を拒否した」と。教育は大事だが、その間先方を待たせてるんだよね。先日ガソリンスタンドでお客を待たせた状態で店長が部下を長々と怒号。堪り兼ねたお客が「客の前で怒るな」と注意を。
0274 「畑変われば、一から耕す試練が」
一般家庭から寺へ嫁ぐ不安を抱える女性に「寺生まれの娘でさえ、他寺へ嫁ぎ精神疾患になる者が。姑、小姑に加え、力ある檀家総代の目が光る。私の女房殿は20歳で在家から嫁いできたが「我慢出来ずば、帰って来い」に「私には戻る家などありません」と、結婚前に離婚の話をする親戚の言葉を止めた。じっくりと」と。
0275 「2500年前の教えが、今尚色あせず」
釈尊は誕生すぐ四方に7歩づつ歩み「天上天下唯我独尊」と。まさか馬じゃあるまいし、誕生すぐの赤子が歩き語ることなど。これは「栴檀は双葉より芳し」の誇張表現を後世の人がそれ程に尊い存在と示しただけ。が、その本意は、命は皆一律に尊いもの。自分にとって自分が一番尊いように、他もまた同じだよ、との教え。
0276 「指導者は無知を認めて初めて本物」
先代(亡き父)は常に僧侶達に「相談を受けた場合、必要以上その家庭に入り込んではならん。知らない事は知らん、と認める勇気を持て。自分の言葉に責任が負える範囲で対応をせよ。「大賢は愚なるが如し」を常に心掛けよ。愚かでない者が愚かを装うは人に安らぎを与える。信仰は常にこの問題が付きまとう。心に」と。
0277 「人の口を伝われば、事実はまがい物に」
400年前は家康公がこの世に。更にその400年前は頼朝公が。現代人が家康公を抱く感覚で、家康公も頼朝公の事を感じていたんだろうか。さて、歴史に残る話はどれだけ本当かいな。史実は四割事実で、六割嘘と言うが。リアルタイムでも人の口を渡れば、事実無根の内容に。誤報を広げぬ為には、鵜呑みにするは四割に。
0278 「迷信は解明されたら、迷信でなくなる」
数年前、鬱患者が次々相談に。病院投薬はやる気を促す為、脳内セロトニンを分泌させるが目的。が同じ頃、ゆっくりの深呼吸でセロトニンが分泌するが判明。そこで「屋内で心落ち着ける場所、仏壇前で座し、手を合わし深呼吸してごらん」と。偶然か、何人かは改善を。釈尊が示した座禅の効力、2500年経って今、解明。
0279 「決して忘れてはならぬもの」
「もしあの時、ああしていたら」の言葉の中には2種類あり。1つは悔やむ意味と、もう1つは安堵の意味。ただ、両方に共通している事は「もし、あの時」なるものには、決して忘れてはならない事例が多いという事。事故、病気、失敗、進路選択、言葉遣いなど。人間は忘れた途端、また同じ行動を繰り返す。心に刻もう。
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