令和元年9月分 金剛寺住職短文法話集

 「坊主の説法と結婚式のスピーチは短いほど有難い」と。但し、短文法話の中には必ず含み言葉が。講演会でよく次の様な質問を。「法話によって参加者全員が抱える問題を網羅することが出来ますか」と。対し私は「法話は話し手より聞き手の受け取りの方が大事。法話は数学で言うところの『方程式』に同じ。その話に自身が抱える問題を当てはめ、自らが解決の糸口を導き出していく為の道具にするもの。これは法話に限らず、人と人との関係全てにおいて言える事にて」と説明を。その様に理解して頂きますれば、この短文法話も何かのお役に。

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0364   「人は暇だと何かを標的に時間つぶしを。何か、やる事、見つけたらどう」

高校生が「今この国は、揚げ足取りや粗探しばかりが目立つ。暇潰し解消の標的として言い易い医師や看護師、学校先生方に理不尽な文句三昧を。とても恩を受けてる者の態度ではない。大人、子供に限らずいじめの風潮。国会では言い間違えただけで貴重な時間を長々と。子供は世相が育てまっせ。世相とは大人の行動」と。

0365   「付き合う相手を選ぶは、自分だけに非ず。選ばれている側というも、忘れずに」

知人社長が「倒産寸前の頃、某社長との縁があり『朝7時までに来るなら仕事をやる』と。社員と車を走らせ関西から静岡まで毎日往復8時間。1ヶ月後『もう来んでいい』と。『終わったか』と落胆するや否や、『定期便を出してやる』と。恐らく我々の本気度の確認を、この期間で。この社長との縁は30年経った今も」と。

0366   「やはり、今でも世界一安全な国は日本と思うが、今後はどうなっていくかな」

将来弁護士を希望の中学生が「六法の勉強、大変そうだね」と。「一国、一国を大名が統治していた時代、国によってお触れ書きに違いが。ある国では5カ条、またある国では30カ条と。注意事項が少ないは、つまりその国が平和で、安定しているという証拠。日本の六法も他国に比べ記載内容が少ない方かな。今は、だよ」と。

0367   「何が悲しゅうして子孫を祟らなあかん。彼の地で、俺がいったい何をした、と嘆いとろ」

亡き父(先代)は常々「霊感が強いといって自慢しては、亡き人を悪霊に仕立て上げる僧侶が。言われた方は全て憶測。が、それを真に受け、多額の供養料を払ったり、第三者に責任を転嫁したり、と。騙す方が当然悪い。が、騙される方も。何か身に覚えがあるんかいな、祟られる様な。先祖を愚弄するも大概にせにゃ」と。

0368   「浮気問題は結局、喧嘩両成敗かな。片方だけに非がある、はない」

奥様が激高して寺へ浮気相談に。が、内容を深堀りしていくと、食事は毎食インスタント物をチン。お金遣いもルーズ。どうやら家はゴミ屋敷。これが結婚以来ずっと。これじゃ、ね。人は報われないと感じたら、安らぎを求めて別の場所へ。確かに、浮気は絶対に良くない。が、そうするからには、そうする理由があるもの。

0369   「時代は移り変わっても、勤勉者もおれば、怠け者もおる」

今春大学入学知人息子に「35年前の拙僧の時代でも、バイトもせず講義、同好会、合コンに明け暮れ、下宿に帰ればゲーム三昧、親の仕送りをただ待つだけの者が。大学生の社会的位置付けは失業者。失業者が怠けてどうする。社会に出て充実を望むなら、バイトで色々な人脈と見識を身に付けよ。4年は、あっという間」と。

0370   「他人様が貴方の足を止める事はない。貴方が足を止めない限りは」

卒業前の高校生に「節目、節目には様々な人間模様が。努力を怠ってきた者は論外だが、頑張ってきた者が必ずしも報われるとは限らん。競争社会だからね。が、負けた者が生涯敗軍のままとは。負けて勝つ、というケースも数多に。唯、この言葉は諦めない者だけに与えられる物。積み上げた土台無くして逆転劇はない」と。

0371   「本末転倒は自らが転倒する結果に。何の、誰のお蔭で、現在の自分が成立か」

学校保護者会で「今は何を優先、を履き違えている方々が数多に。ドクター、看護師は患者さん。先生は生徒さん。坊主は檀家さん。社長は社員の生活維持、社員は会社への貢献。親はわが子の育成。これを間違えたら即利益の損失に。人は地位、名誉、お金、それと長年の慣れによって、勘違いの方向へ。頻繁に再確認が大事。

0372   「いつの世も貧乏くじを引くは下々にて。もう、いい加減、何とかしろよ」

知人社長が「大手からの仕事で100万円の見積もりを出すと、半額の8掛け、つまり40万円で受けろ、と。当然赤字。が、断ったら次が貰えん。以前に、数億円の仕事料から数百万抜いて自宅車庫を造らせた、なる重役も何人かいた。手抜き工事を責める前に、途中マージンにメスを入れんと、中小、孫請けは、堪らん」と。

0373   「1人息子の家にわが娘、嫁にやるな。母親と息子の間に入る隙間なし、と」

10年前には、この様な話、殆ど聞かなかった。女の子ならまだしも、男の子の大学入試や、何と入社式にまで母親が同行を。その状況に彼女から呆れられ、振られたという青年がお寺へ。「親孝行のつもりでした事が、間違いなくマザコンと思われたんでしょうね」と。「彼女さんは、結婚後の生活を想像したんだろうな」と。

0374   「口喧しい人程、自分にとっては最も大事な宝にて。嫌われるを覚悟で、助言を」

年頭法要時法話で「人間には選択権を与えられてない物が。与えられる親、子供。この五体、寿命、1日24時間、など。努力で何とかなりそうな物でもそう簡単には。行きたくとも行けん。したくとも出来ん。望みを叶える為には、必ず第三者の力添えが必要不可欠。生かされているという事をしっかり自覚しましょう」と。

0375   「諺に、宗論はどちらが勝っても釈迦の恥、と。争うも必要だが、協調も必要」

拙僧、息子の「昨今は皆、長文は読まん。短文なら」の進言でツイッター法話を。「布教も兼ねるの」の問いに「いや、宗団の教えなど、読み手は興味など持たん。前に縁のあった浄土宗布教師さんが『政界も宗教界も各派で喧嘩などやっとる場合か。力を合わせ、この国を立て直していかにゃ。特に人材育成だわ』と。同感だね。

0376   「子は親の言う通りには動かん。親のする通りに動く。子は、親が育てただけ」

高校講演で命(先祖供養)の法話を。講演後に生徒達から痛烈な親批判が続出。「うちの親どもは、先祖を供養している菩提寺に足を運ぶ姿も、墓参りに行く姿も、見たことがない。元来、家で手を合わせる姿、1度も。僕達はその環境下で育てられた。先祖を敬う心が育ちますか。この度の話、今度は親どもにしてください」と。

0377   「自分に利があるから動く。利がないから動かん。そうでない人が、人の上に立つ」

息子から「お寺の仕事で、何が一番つらいね」と。「そうだな。先祖供養、水子供養、せなんだら、罰が当たるか、祟られるか、と問われる事かな。結構いるんだよ。何処の誰に吹き込まれたのか知らんが、祟られたら嫌だから一応やっとく、という人がな。命を流してくれた、産んで、育ててくれた人を悪霊扱い、あかんよな」と。

天徳山 金剛寺

ようこそ、中山身語正宗 天徳山 金剛寺のホームページへ。 当寺では、毎月のお参りのほかに、年に数回の大法要も行っております。 住職による法話も毎月のお参りの際に開催しております。 住職(山本英照)の著書「重いけど生きられる~小さなお寺の法話集~」発売中。