令和3年2月分 金剛地住職コロナ関連法話集
陣中(コロナ自粛奮闘)お見舞い申し上げます 2月分手紙
コロナが人類に暗い影を落とす中、米国立衛生研究所主任研究員、小林久隆医師の『光免疫療法』が昨年11月、世界に先駆け日本が認可、保険適用に。薬剤点滴投与で薬剤が癌細胞だけに結合、癌細胞に近赤外線を照射、化学反応を起こして癌細胞だけを破壊。治療の30分後には癌は壊死、1週間後には癌は死滅、剥がれ落ちると。正常細胞を傷付ける事なく。昨年の東京五輪までには、実用化とは聞いていたが。やっと、来たか。
【追伸】
米国内30人の臨床試験では、癌が完全消失したは4人。縮小は9人。80%以上が、癌の進行が止まったと。1回の治療費用は、約600万円弱。高額療養費制度を使うと、自己負担は約30万円弱と。3年前にこの話を聞いた時には、東京五輪までには実用化されると。その当時、拙僧の講演会に参加していた老医から「住職は『光免疫療法』を知ってるか」と質問され、答えると「住職の見解を聞かせてくれ」と。「この療法が将来、目覚ましい進歩を遂げ、癌が不治の病でなくなったからとて、人間の平均寿命が80歳から150歳になる事はないですよね。が、人類の究極の望みは『死ぬまで、元気』にて。それをサポートしてくれる治療が世に出されたは、非常に喜ばしい事かと。私の父(先代)も癌の激痛と戦いながら、息を引き取りましたので」と。対し、その老医(80歳)が「わしも、その考え方には賛成じゃな」と。
【追伸】
知人医師が「医者は万能ではない。助かる患者さんしか、助ける事は出来ん。助からん患者さんを、助けることなど、出来んのだ」と。また、ある知人医師に拙僧「医者は、人間の体をどのくらい把握してるの」と尋ねると「数%くらいかな。あとは手探り」と。その数%の把握が、実際は凄いんだが。現段階までの医学を駆使し、世界では今、必死にコロナと対峙を。感謝、感謝、また、感謝ですね。
【追伸、人の体の不思議、パート1】
米国の事例を2つほど。手術不可能な脳腫瘍を持つ小学生男の子に精神科医が「戦闘機を思い浮かべて、頭の中にいる悪者(敵戦闘機)を毎日攻撃してごらん」と。すると1年後、脳腫瘍が消滅を。今1つの例は、幼児期に意識不明の昏睡状態に陥った男性が。回復したは、老人になってから。心は幼児のままで。この2つは、特例中の特例だが「世の中は、何が起こるかわからん。諦めるな」の教訓に。
【追伸、人の体の不思議、パート2】
檀家65歳女性が、一昨年の11月に直径2センチの肺癌が発覚。コロナの為、手術が延び延びに。昨年4月、コロナが落ち着いたので、手術前検査をすると、肺癌が消滅していたと。担当医師曰く「数%ほどだが、この様な事例がある。現段階の医学では、まだ未解明。が、何かの作用(免疫向上)が働いているのではないか、と。精神世界の範疇かもしれん」と。昨今では、血液検査でストレスの度合いがわかると。信じ難い事だが、あの大変な仕事を担っている介護職が最もストレスがないと。人からの「有難う」の言葉、人が喜んでくれる姿が、免疫を向上させているのかも、と。そういえばお寺でも、奉仕(境内掃除など)をされる人や、先祖を敬っている人達は、元気で、長生き、が多いかな。それが解明されれば、迷信が、迷信でなくなる。
【檀家の中学生との会話】
先日、檀家の中学生男子と会話を。「住職さん、マツコデラックスさんの番組で街頭インタビューが。その時、お爺ちゃん、お婆ちゃん達は、三密も、Go. To. 〇〇も、ソーシャルディスタンスも、知らなかった。極め付けは『新型コロナウイルス、って、何の事や』と。『なら、何で、マスクしてるの』と尋ねると『皆んなが、してるから』って。番組を見ながら、どういう訳か、心が救われた気分になったは、僕だけだろうか」と。この中学生が、現在の日本の状況を見て「日本人は昔からこうだったの」と。「こう、とは」「閉鎖的な思考です。他者の意見に対し、否定的、攻撃的。島国という閉鎖的な環境が人間性に影響してるのかな」と。「270年も鎖国したは、他に類を見ない国だもんね」「コロナ差別を見ても、基本思考に『村八分』が見え隠れしてるもんね」と。
【お年寄り関連の面白い話】
檀家爺様が「昨年、今年で最後、と同窓会が。老人達の会話は、実に面白い。『健康の為に無農(薬)の野菜しか食べちょらん』と皆々。が、皆々、食後に大量の(薬)を。『延命治療は、せんでいい』と言いながら、医者が急に優しくなったら『何故』と不安になると。同窓会では、いびきをかかずに寝てると『死んどりゃせんか』と皆が集まってくる。朝寝坊をしたらしたで『おい、生きとるか』と、入れ代わり立ち代わり確認に来る。年賀状が返って来ない友人は、同窓会の度に死んだ事にされる。やっぱ、この会もそろそろ、潮時かな」と。
【追伸】
読者が「先日、住職の法話で、痴呆になった爺様が、何年も可愛がってた犬を『こいつは何だ。何でここにいる。捨ててくる』と連れ出す度に、きまって犬の方が先に帰って来る、という話が。私の家も同じです。ただ、少し違うは、帰る家を忘れた爺様の少し後ろを、犬がずっと付き添って。無事に家に帰り着くまで」と。
【追伸】
この法話を檀家の家で話すと、そこの孫が「僕の爺ちゃんは、あちこちに千円札を隠す癖が。隠した場所も、隠した事も忘れて、また隠す。その度に僕の小遣いになる」と。「犬が、そうらしいね。土に骨を埋めたら、そこまで。隠した場所も、隠した事も忘れると。お年寄りと暮らしてると様々面白い事や教訓が貰えるよね」と。
【お年寄り関連法話をもう1つ】
法要後に法話で「爺様の外出が心配で婆様が『お爺さん、テレビで今、お年寄りが高速道路で逆走だって。気を付けて』と携帯に電話すると『わしも今、高速道路じゃ。逆走の車が何百台も。危ないから電話切るぞ』と。これ、笑い話と違うよ」と。すると、参拝の老男性が「運転中の携帯は、あかんやろ」と。んっ、そこかい。
【追伸】
拙僧も高速道路での逆走の車を見た事がある。逆に入ろうとしている車を止めた事もある。どこから高速道路に入ってきたのか、自転車で走っている老人も、犬の散歩をしている老人も、見た事がある。全て男性。入れないと、逆走は出来んし、自転車で走行も、犬の散歩も。入れない様に道路公団が工夫すればいいのにね。
【追伸】
読者が「防御というは難しいよね」と。「映画『仁義なき戦い』で文太さんが松方さんに『狙われる者より、狙う者の方が強いんじゃ』と。これ真理にて。絶対盗まれないと宣伝した高級外車があっさり盗難に。お寺では、イタチの入る隙間を潰しても、潰しても、屋根裏に。所詮、人間のする事。完全防御は、難しいよね」と。
【コロナ終息後の世界を心配する読者が】
檀家若者が「住職が江戸時代の火付盗賊改の長谷川平蔵は、実在の人物であると。彼が『犯罪を犯すは、飯が食えんからだ』と、日本で最初の職業訓練校を設立、人に技術を施したと。コロナに勝っても、失業者が溢れたら、皆、飯を食うために。日本は犯罪大国に。国の示す感染防止策は、一貫してずっと同じ事を。真面目、不真面目が、コロナの増減の要因だろ。規律を守って経済を動かさにゃ、大変なことになるばい」と。
【追伸、上記男性の意見に対し】
読者中学生が「この法話、納得。住職が度々『そうすれば、そうなる。そうなったのに、まだ、そうするか』と。大人って、馬鹿なの」と。対し「その馬鹿な大人達も、君達の歳の頃は、純粋で、正直で、善悪を直視出来てたんだよ。人間は年齢が増すにつれ、守る物(地位、名誉、お金、家族)が増えてくる。嘘や誤魔化しは、それらを守る手段。君らは、そうなるなよ」と。「ならんよ」「ほんとか。この会話したを、忘れるなよ」と。
江戸時代後期の狂歌師、太田南畝(なんぽ)の辞世の句が「今までは人の事だと思うたに、俺が死ぬとは、こいつは堪らん」と。これも社会風刺の一句かな、と。昨今でも「俺がコロナに感染とは。俺の子供が自殺とは。俺が癌になるとは。俺が離婚するとは」など。人間は現実を突き付けられて初めて、真剣になるかな。
令和 3 年 2 月分 金剛寺住職(コロナウイルス関連)短文法話 【その11】
人間の欲に歯止めが効かなくなった時、天はそれなりの人物(その他)を下生させ、荒療治を成し、リセットを。戦国時代には、信長公を。第二次大戦では、ヒトラーを。14世紀には、ペスト(1億人死亡)を。1918年には、スペイン風邪(5000万人死亡)を。地球は人間だけの物といわんばかりに、圧倒的に多い他生物の命(生息領域)を軽視し、自然破壊を繰り返し続けた結果、生態系が崩れ、方々で天変地異が。『そうすれば、そうなる。そうなったのに、まだ、そうするか』を自身に問い掛け『分相応に生きる』を、見直す時期に。
下記は、読者の質問に応じた拙僧の返答集。コロナ発生初期から、移り変わっていく人の心情が鮮明に。自然災に限らず、人生においても考慮すべき質疑応答にて。今後の参考にしていただきますれば、と。
【令和2年4月中旬法話読者の質問に答えて】
世の中の出来事や戦争、国政の有り様を事ある毎に批判、平和の何たるかを声高に論ずる檀家男性が。あまりに不平、不満が多い為に、実生活においても仕事が長続きせず、転々と。その男性に「理想を掲げて生きる事も確かに大事。だが、君はその前に、目の前の奥さんや子供に安心、安定、幸せを与える方が先じゃないか」と。
【追伸】
この男性に「相手を憎んだり、固定観念、好き嫌いでの決め付けは、判断を鈍らせる事になるよ。拙僧の仕事は、世間で『悪』と判断されている中からでも、教訓となる物を掘り出し、人に提供させてもらう事。その例えとして時折『ピーマンが嫌いでも、ピーマンそれその物が悪い訳ではない。食すれば栄養満点』と。わが子達が小学生の頃、法要に子供の友達が遊びに。法要後の接待に子供らが嫌いな野菜料理が。が、『美味しい、美味しい』と食べ残す子供は1人もいない。わが妻は『野菜は捨てる部分はどこもないよ。料理方法で何ぼでも美味しく仕上げる事が出来る』と。何でもがそう。否定から入れば、得るものはない。工夫次第でなんぼでも」と。
【追伸】
100年前、人類は、スペイン風邪で1億人も死亡した事例があるに、普通の生活がどれ程に有難いか、身に染みて思い知った事例があるに、たった20数年後、人類は第二次大戦を。喉元過ぎたら完全に熱さを忘れて。それを経験した人は、今は誰1人も。新しい命の誕生と共に、新しい欲もまた誕生。また、同じ轍を踏むか。
【追伸】
読者が「住職の考えは」と。「潜伏期間、発症、完治まで、約1ヶ月少々。空中、ノブ、手摺り等のウイルス生存は、約2週間。他の命に帰属せずば、単独生命保持は。1ヶ月、人類が家で籠城すれば。病院はプロの職場。目の前の患者だけなら。命取るか、経済取るか、それとも折り合うか」と。コロナに限らず人生は、何かが欲しけりゃ、何かを捨てらにゃ。加えて、自分の欲を満たす為には、誰かを犠牲にしておるも、知らにゃ、ね。
【追伸】
知人が「住職は予知能力があるの」と。「ないよ」「でも、5日前『車に注意を』と私に。覚えてる」「いや」「あの後に跳ねられ、場所が病院前で、即、運び込まれ、事無きを」と。「虫の声だね。よく拝み屋さんが『俺はわかってた』と、それはないわ。全て後付け。そんな力あるなら『コロナ終息期日を言い当てろ』って話」と。
【追伸】
檀家小学生が「昨年逝った曽祖母は、毎年精霊送り日になると『お盆過ぎたら、朝晩がぐっと涼しくなるだろ。あれはね、先祖が心を向けてくれた子孫への恩返しとして、暑さを持って帰ってくれてるからだよ』と僕に。だとしたら、お盆の様に心を向けたら先祖さん、コロナを持って帰ってくれるかな」と。「だといいね」と。
【追伸】
家内と博多へ、初めてオーケストラの公演に。素晴らしかったが、2時間公演の内、約半分の時間は、演奏後の指揮者拍手喝采の出たり、入ったり。堪り兼ねて、家内に小声で「何や、これは。何度繰り返すんだ」と聞くと「有名な楽団は、これが当たり前の事なの。不平、不満を言うは常に、知識がない人間」と怒られた。
【令和2年4月中旬法話読者の質問に答えて】
檀家母親が娘に「こんなにコロナが。先生は何故、閉院しないの」と。対し娘が「昨日、爺様が中耳炎で通院。膿むと痛いんだよね。歯の痛みもそう。痛みには待ったなし。医院が閉院だと皆、多忙の大病院へ。先生方が開院するは、使命感からだよ」と。娘さんは毎日変わりなく通院を。さすが、10年選手。感謝、感謝。
【追伸】
自分は得手勝手な行動をやっておきながら、医療従事者への不平、不満ばかり言う人達に「私達一般は、感染を防止しようと思えば、出来る立場にある。人混みに出さえしなきゃいい。が、医療従事者は、最も危険な場所が、職場。そこに毎日。現在、医療崩壊寸前の危機に、街では相も変わらずの賑わい。で、感染したら「治せ」と病院に押し寄せを。それその物の知識、経験のない者に限って、文句や軽率な行動を」と。
【令和2年4月中旬法話読者の質問に答えて】
電話相談で「父の葬式で布施料300万請求が。私は支払えたが、子供にはこの様な負担は。菩提寺に『お寺を替えたい』と申し出ると『離檀料600万円出せ』と。どうすれば」と。「裁判は鬱陶しいが、判例があり、上限50万と。お寺側はお金欲しさではなく、離檀阻止が望み。腹割って話し合いをしてごらんなさい」と。
【追伸、国からの援助金】
このコロナ時期、皆が困窮を。上記の様な寺院もこれまでの諸行を省みる良き機会かと。昨今、閉店中の店に泥棒多発報道が。必ず出ますね、火事場泥棒が。嘗て『絶対開けられない鍵』と自動車会社が高級車販売後、即盗難に。所詮、人が作った物は、人に破られる。国からの10万円援助金、無事、国民に届く事を願うばかり。
【追伸】
檀家爺様が「住職、東北大震災の時、北九州を含む全国各地で『絆、絆』と声高らかに。覚えてるか。が『廃材をこの地に』と要望がきた途端、掌を返して持ち込み反対運動が勃発。あの『絆、絆』は、いったい何だったんだ。火の粉が降り掛かってきた途端、本性剥き出しに。現実を突き付けられるまでは所詮、他人事」と。
【令和2年4月中旬法話読者の質問に答えて】
読者が「2019年の日本のインフルエンザ感染者は1千万人超え、死者は3千人、関連死を含めば1万人超えと。今年はコロナの関係でうがい、マスク、手洗いの徹底で減少傾向と。ウイルス防止は、やはりこれが最適かな。住職は他に何に注意を」と。「人が集まれば『無言徹底』を檀家に。咳、声は飛沫を産むので。それと法要は、時間短縮(1時間を30分に)し、密接防止を」と。
【追伸】
拙僧、今日までに900人以上の葬式を。その内、30代の突然死が5人。法話で度々「明日の命を約束されてる人は、誰1人も。人は皆、自分だけは死なん、と思っとる。今ここに、命があるに何不足」と。志村けんさんに続いて、岡江久美子さんも。著名人の名が出る度に皆、少しは自重を。命を粗末にする軽率な行動だけは。
【追伸】
行き付けの薬局の老店主が「住職、大丈夫や。あと1ヶ月もあれば、感染は終息するわい」と。その会話に薬を買いに来ていた小学生が「おっちゃん、それ、本当なんか」と。「本当だよ。だから、人混みに出らんで、家で遊んでろ。この際、しっかり勉強しろ」と。言われたその男の子を見ると、ニヤニヤしながら「嘘ばっかついて、いつもおっちゃんは、いい加減な事を。でも、なんか、元気が出た。有難うな、おっちゃん」と。
【追伸】
この国はお金さえ出せば、何でも手に入る。いつしか、工夫して活かす必要のない国に。電車も宅急便も、当たり前の様に時間通りにやってくる。いつしか、待つ必要のない国に。待つ必要のない人間は、我慢が出来ない人間に。あおり運転が無くならんも、それが要因の1つ。コロナは人間に、様々な教訓を残してくれている。拙僧の周囲でも、今ある物で、工夫して活かす行動を起こす人が、徐々に増えてきたかな。
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