令和3年8月分 金剛寺住職短文法話集

陣中(コロナ自粛奮闘)お見舞い申し上げます     8月分手紙

匿名の僧侶さんから、昨年の暮れに電話が。「住職さんは『悪霊などおらん。失礼な』と。『おらん』という根拠は、あるのか」と。「ないよ。なれば『おる』いう根拠は」と。「・・・」「貴方は、仏やあの世の存在は」「信じてます」「悪霊と言うからには、彼の地で閻魔の裁きを。その悪霊を更生させず、また、悪さする精霊を、閻魔は見て見ぬ振りをしてるんですか。そんな仏なら、仏の存在価値ないですよ」と。以来、連絡がぷっつり。

【脅し信仰に洗脳された読者の質問に答えて】

読者に「社会的立場(医師、信仰指導者など)ある人に、『あなた、鬱病だよ』と言われた途端、今の今まで、その兆候のなかった人が、鬱病になる場合も。今現在、何の悩みもない幸せな人に『あなたの家は、先祖が悪霊になっとる。災難が降り掛かる』と言われた途端、些細な事までも『悪霊のせいかな』と考え出す人も。これを洗脳と言います」と。「騙す者を見分ける方法は」「信仰に限らず、騙す側は巧みだからね。基本、能(力)ある鷹は爪を隠すもの。能(力)がないから、威張らなあかん。弱い犬程、よく吠えるというでしょ。脅し信仰の類は、疑った方がいい。『病気になるぞ、災難に会うぞ、死ぬぞ』など。釈尊や各高僧が、脅して人を導いたなんて話、聞いた事がない。世の中で最も恐しいは、人間。人間ほど恐しい生き物はいないよ。よくよく注意を」と。

【追伸、別読者からの質問に答えて】

読者に「苦難時代では必ず、金儲け信仰者が方々に姿を。先日も、家相が悪難を招く、と言われ、それ以来、便所、風呂に嫌悪感を抱いている女性が寺へ。何か、悪い事が起こったの、と問うと、いえ、そう言われたから、と。その風呂、便所だけど、毎日使ってるの、と問うと、はい、と。毎日使わせてもらってるのに、文句を言ってるの。便所、風呂が喋れたら、なんて言うかな。文句言う前に、有難う、が先でしょ、とその方に」と。

【追伸、別読者が】

読者女性が「僧侶から『震災死した貴女の家族が成仏出来ずに彷徨ってる。このままだと悪霊となり家族に災いが』と、多額の供養料の提示と脅しの言葉を」と。対し、拙僧「ほっときな。悲しく亡くなって逝った方々を、今度は化け物扱いかい。心配せんでよか。貴女が『安らかに』と願ったら、貴女の心の中で安眠だよ」と。

【追伸】

人が苦しんでいる時、必ず沸いて出てくるが、火事場泥棒。やはり、出たね、偽ワクチン業者。坊主宅急便が世に流行った途端に、偽坊主(免許持たず)が横行。昨今は、震災死、コロナ死、を出汁に、他界者を悪霊に仕立て上げ、金儲けを。人を、死者を、愚弄するにも程がある。1人1人冷静にならんと、そんな輩の餌食に。

【験担ぎ、迷信、の話】

読者が「不動産屋が水曜休日は『商談が流れるを嫌うから』と。その他でも『水もの』と言われる業者も、この水曜日を休日に。験担ぎって、そんなに大事」と。「験担ぎは何の意味も、という人が。実際はそうだが、それ程に商売は難しく、当事者は真剣、という事。休日は絶対必要。なれば、そんな選択方法も、ありかな」と。

【追伸】

この読者が「散髪屋(床屋)さんが、月曜日に休日にするは、何故ですか」と。「50年間、お世話になった床屋の店主さん(他界)が『第二次世界大戦の前後、戦争の影響で電力不足になった。そこで国が、休電日、というを定めた。その指定日が、月曜日、火曜日、だった』と言ってたよ。何にせよ、験担ぎは、何かを守りたいが為に、する行為。それをする事で、免疫が上がって、やる気が出るなら、否定する必要は、ないかな」と。

【追伸】

読者が「私も験担ぎが悪いとは思いません。モチベーションを保つ方法は、人それぞれですもんね」と。「だと思うよ。何かを真剣に望み、それを成功させたいと願っている人は、何かの支えが必要不可欠。人はそれほど、強くはないですもんね」「住職のモチベーションの保持方法は、何ですか」「家内の笑顔を見る事、かな」と。

【追伸】

読者が「住職が度々法話で『信仰は特別な物じゃない。特別な物にしている者がいるだけ』と。マルクスや毛沢東、レーニンが言った『宗教はアヘンである』も、ある意味そういう事かと」「アヘン(麻薬)は、医療に使えば薬に。快楽の為、乱用すれば有害に。使う目的、使う人によって、真逆になる物は、世の中には数多」と。

【追伸、迷信についての問い掛け】

迷信には、朝と夜で評価が変わる物も。その1例が蜘蛛にて。蜘蛛の迷信はなんと古墳時代から。朝の蜘蛛の巣作りは、客人到来を意味し、夜の蜘蛛の巣作りは、闇の中で巣を張って、ゆっくり動く姿は、泥棒のそれに似たり、と。常日頃と何ら変わらぬ1日を、蜘蛛は過ごしているだけなのに。蜘蛛にとっては、迷惑な話にて。

【追伸】

蜘蛛といえば、某幼稚園の先生が「蜘蛛の巣に捕まっていた蝶々を逃してあげたら、幼稚園児が『蜘蛛が可哀想じゃないか。蜘蛛だってご飯が必要なんだよ』と。ハッとした。蜘蛛は『醜い、怖い、悪者』と。蝶々は『綺麗、可愛い、善者』と。人間は自分の勝手感覚で他者の決め付けを、と猛省を」と。子供教育と言えば、今1つ。進学校の保護者会講演で、こんな話を。「幼稚園時代から勉強以外は悪と、親が勝手に自論を押し付け、レールを敷き、一流街道を歩まされた男性がいた。卒業後は大学名と親の縁故で一流企業に入社。が、長続きが出来ず、45歳の現在、高学歴ニートに。5科目が出来るが人生の成功者と、勘違いして育てた親(大人)と、勉強が出来るが人生の勝利者と、勘違いして育った子供。結果、こうなった(高学歴ニート一直線)親子、少なからず。知識は学問から。その知識を活かす知恵は、経験から。経験なき知識持ちは、ただの『物知りさん』でしかない。子供時代に、当然経験させておかにゃならん事を、親が悉く横取りして。何も出来ない人間を育成」と。

【地球内生物のサイクルとは】

私達人類からすると、人類の終わりは世界の終わり、の様に思っているが、地球からしてみれば「お前達人間はどこまで高飛車なんじゃ。人類滅亡など、地球にとっては、然程大した事ではないわ」と思ってるのかも。

檀家爺様が「住職、人類が滅亡したら地球はどうなるんだろうな」と。「専門家でも憶測だろうが、人類滅亡後、数時間で世界中の明かりが消えるらしい。多くの発電所の火力、燃料補充は人間の仕事。地下鉄は3日程で水没。地下水排出システムも人間の仕事にて。10日後にはペット、家畜は餓死すると」「そうなんだ」と。

この檀家爺様に「まだあるよ。1ヶ月後には、原子力発電所の冷却水が蒸発。福島やチェルノブイリどころではない放射能災害が。冷却させるも人間の手が必要だから。1年後には人工衛星が落ち始め、25年もすると都市も道路も建物も植物に覆われ、砂漠の中の都市(ドバイ、ラスベガス)は砂の中に埋もれ、300年後にはビルや橋は腐って倒壊、1万年後には人間の痕跡は、石で作られた建造物だけ。5000万年後には、ガラスやプラスチックは、まだ残ってるが、1億年後には、それすら消えてなくなるらしいよ」と。「もうよか、住職。つまり、地球は元の姿に自力で戻っていくという事だな。そして、新たな生命体に引き渡すという事なんだな」と。「まあ、全てが憶測の範疇。だけど、地球の歴史で絶滅していない生命体はいないという事だもんね」と。

【追伸】

地球はこれまでに5回、大量絶滅(地球上の生命体が90%死滅)を。最後が1万年前の白亜紀、所謂、恐竜時代。この時だけが隕石落下によるものと。あとの4回は火山大爆発による炭素が原因。専門家によると「現在、地球は火山ではないが、その4回と同じ環境になりつつある。ちっぽけな人間の得手勝手の振る舞いは、ちっぽけな要因でしかないが。が、人間の地球環境破壊も要因の1つである事には、間違いはない」と。さてさて。

【追伸、別読者が】

読者が「地球温暖化加速でシベリア永久凍土が融解し、未知のウイルスが出る可能性が、と。現にモリウイルスなる高い増殖能力を持つ菌が発見、と。二酸化炭素の25倍の温室効果を持つ、メタンガスが大量放出の恐れありとの事。ここ10年の対策が大事になってくると。コロナ発生は、人間に足を止めさせ、考える時間を与えくれたのかも」と。そうすれば、そうなるは、世の習いにて。さてさて人類は、コロナを教訓に出来るのかな。


令和 3 年 8 月分 金剛寺住職(コロナウイルス関連)短文法話 【その17】

人間の欲に歯止めが効かなくなった時、天はそれなりの人物(その他)を下生させ、荒療治を成し、リセットを。戦国時代には、信長公を。第二次大戦では、ヒトラーを。14世紀には、ペスト(1億人死亡)を。1918年には、スペイン風邪(5000万人死亡)を。地球は人間だけの物といわんばかりに、圧倒的に多い他生物の命(生息領域)を軽視し、自然破壊を繰り返し続けた結果、生態系が崩れ、方々で天変地異が。『そうすれば、そうなる。そうなったのに、まだ、そうするか』を自身に問い掛け『分相応に生きる』を、見直す時期に。

下記は、読者の質問に応じた拙僧の返答集。コロナ発生初期から、移り変わっていく人の心情が鮮明に。自然災に限らず、人生においても考慮すべき質疑応答にて。今後の参考にしていただきますれば、と。

【令和2年5月中旬法話読者の質問に答えて】

檀家が「徳川家臣で一押しは誰」と。「保科正之公、かな。明暦大火復興は圧巻。『徳川の権威を守るには、民の信用を得る事』と武家は後回しで、民衆救済に大金(食糧、居住)を注ぎ込み、民衆の生きる力を借りて江戸復興を。隅田川に両国橋を掛け、江戸の街を4倍に。今ある東京の原型は、この方が作り上げたもの」と。

【追伸】

民衆救済の為の多額の資金は、大名の参勤交代を廃止し、江戸在住武士を減らす事で、米を民衆に配給。両国橋を作った事で、街が広がり、民衆の居住を分散させ、大火事の元になっていた大きな建物(お寺等)を中心地から遠くへ移転。明暦大火後も1000を超える火事が。両国橋のお陰で、どれ程の命が救われた事か。また、「戦のない世に、天守閣は必要ない」と、江戸城天守閣再興を反対。もう徳川の世では、戦はない事を知らしめる為にも。この保科正之公だけは、東京人なら皆、知っておきたいもの。さて、今ある常識は今日までのもの。常識は日々変化をしていく。保科正之公が現代に生きていたら、どの様にコロナに立ち向かっていただろうね。

【令和2年5月中旬法話読者の質問に答えて】

「国内企業の平均寿命は30年。創業200年以上の企業、世界に5200社ある内、3100社が日本に。創業1000年以上の企業、世界に12社ある内、9社が日本に。わかる気がする。起業を希望の20代男性が「住職、ベンチャー企業が、起業4年以内に95%が倒産すると。何が原因だと思いますか」と。「伊集院光さんが『芸能界で長く活躍している人達は、面白くて、人間性の良い人。人間性が良くても、面白くなければ、やはり駄目だし、面白くても、人間性の悪い人は、気付いたら、芸能界から消えてる』と。当に、これだと思うよ」と。

【追伸】

この20代男性が「仕事が出来る事は、当たり前ですが、やっぱり、人間性は大事ですよね」と。「非常に大事だと思う。口から出てくる言葉が、嫌味、誹謗中傷、悪口、言い訳、嘘、誤魔化し、怒号、と。対応してくる態度が、冷たい、無視、自分勝手、裏切り、と。『仕事だから割り切れ』と、如何に自分に言い聞かせても、我慢にも限界があるわ。イノベーション(新発想)、イノベーション、と声高に唱える割には、自分の勝手な自論、主張を押し付けてくる傾向の人が、なんと多い事か。それが『4年以内に95%倒産』の数字じゃないかな」と。

【追伸、新発想と言えば】

今春、大学生になった檀家息子が「住職、大学時代の思い出は」と。「京都の祇園祭りは、数多の見物客で大変。そこで拙僧『〇〇新聞社』の腕章を作り、カメラを持って関係者の振りして山鉾近くに。京都人の友人が「お前、凄いな。20年も京都に住んでてこんな事、考えた事も」と。翌年、後輩が拙僧達の真似をして大目玉を。

【追伸】

この檀家息子が「住職は、コロナ期に入って度々『仕事が出来る人間は、仕事が出来る工夫を探す。仕事が出来ない人間は、仕事をしたくない人間は、仕事が出来ない言い訳を探す』と。目の前で祇園見物が出来る工夫を探した答えが、これですか。流石にこれは、あかんでしょ」と。「座して死を待つタイプじゃないからね」と。

【追伸、拙僧法話常連者が】

読者が「住職は子供時代、親の仇ごと木魚をしばきながら拝む、檀家婆様の頭に線香を3本立てて、追い掛け回された話とか。この度は、この度で、京都祇園祭りで人混みを避ける手段として、関係者の振りして見物一等地を確保とか。なんちゅう悪知恵を」と。「まあ、生まれた時から、坊主をやってた訳じゃないからね。今は古参の檀家爺様、婆様達が『あんな悪ガキでも、住職をやれとる』と、諦めない子育てのサンプルにされとる」と。

【今月の余談(おまけ)話】

その職業ならでは、の興味ある話を、第三者は聞いてみたいもの。医師には「手術をせず、癌が消えた話があるか」とか、警官には「拳銃の撃ち合い、した事あるか」とか、坊主には「幽霊、見た事があるか」とか。講演質疑で「住職は、幽霊を見た事は」と。対し「夢の中だけならね」「どんな」と。「温泉宿で『お邪魔してもいいですか』と女性幽霊が部屋に。『どうぞ』と言うと、10畳の部屋に100人程の幽霊が。1人1人相談してくるので『今から法話をする。各々自分の疑問に当てはめ、自ら答を導き出しなさい』と。で、目が覚めた」と。

【追伸】

別の講演参加者が「他には」と。「これも前と同様、夢の話だよ。現実の話じゃないよ。聞きたいかい、こんな夢の話を」「面白い。是非に」と。「これも温泉宿での、夢の中の話だよ。何せ30年以上前の事だから、温泉宿というのも記憶が怪しいが。寝ている拙僧に、声を掛ける者が。起きると20歳前後の女性が。何故か、夢に出てくる幽霊は皆、女性が多い。『私に着いて来て下さい』と哀しそうな顔で。仕方なく着いて行くと、温泉宿から100メートルほど離れた交差点で『ここです。すいません、お経を唱えてもらえますか』と頼むので、要望のままに。で、目が覚めた。まあ、仕事(住職)が先祖の供養だから、こんな夢も見るわな、と。次の朝、笑いながら、この話を宿屋の女将さんにすると『実は、半年前、すぐそこの交差点で若い女性が交通事故で命を。夢の中の事とはいえ、もし、その女性だとしたら、喜ばれたでしょうね。ところで住職さん(拙僧)は、霊感があるんですか』と。『全くないよ、そんなの。故人にお経を唱えてあげるだけ。これは、とんでもない偶然だったとしか思えないね。だけど、夢の中の話とはいえ、頼って来てもらえるとは、実に、有難い事ですね」と。

【追伸】

また別の参加者が「住職は、ほんとに霊感、ないんですか」と。「ないよ」「他にありますか、幽霊話」「夢の話ならね。そんなに聞きたいかい」「夢とはいえ、本職の話だから、面白い」と。「これもまた、温泉宿での話だよ。寝ていると部屋内で啜り泣く声が。声のする天井に目をやると、女性幽霊が顔だけ出して。『なに』と問うと『供養を』と。『上から頼むか、失礼な』『ご免なさい』で、目が覚めた。明朝、宿屋ご主人に「昨夜、妙な夢を見た」とそれを話すと「実は、この部屋の泊り客で突然死された女性が」と。これも夢の話だよ。見た夢が偶々、現実に近かったというだけの話だよ。もう、これで、終わり。皆さんの心の中で、夢話が真実になるから」と。

【幽霊がらみで、今1つだけ、面白い夢の話が】

拙僧の夢の中に「四国で供養して頂いた恨めし顔の幽霊です。覚えておられますか」と。「おっ、懐かしい。覚えてるよ。どうしたの」と。「住職があの話を法話にして、投稿してくれたでしょ。それを私の子や孫が偶々読んで、菩提寺やお墓に足を運んでくれる様になりました。度々有難いご縁を頂き、心から感謝致します」と。これもまた、夢の中の話ですよ。だけど、夢って、続きを見る事があるんですね。潜在意識(脳内)の中に、残ってるんですかね。この幽霊さんが言ってる過去の投稿法話とは、次の様な話です。 

【四国巡拝中、巡礼宿で幽霊と会話を。これはあくまでも、夢の中の話ですよ。「なんちゅう恨めしそうな顔してんねん」と幽霊に。「こんな顔をしたら、同情してくれるかな、と思って」と。「で、何の用事ね」「私の供養をお願い出来ないかと」「いいよ、名前は」「えっ、供養して頂けるんですか」「嘘を言ってどうすんねん」と。幽霊の恨めし顔が、みるみる仏顔に。で、目が覚めた。夢とはいえ、考えさせられた。 】と、いう話でした。

何度も、何度も、言いますが、これは単なる夢の中での話です。が、もし、本当に寂しい思いをされている幽霊(先祖)さんがいたとしたら、子孫は少し考えんと、あかんですよね。

天徳山 金剛寺

ようこそ、中山身語正宗 天徳山 金剛寺のホームページへ。 当寺では、毎月のお参りのほかに、年に数回の大法要も行っております。 住職による法話も毎月のお参りの際に開催しております。 住職(山本英照)の著書「重いけど生きられる~小さなお寺の法話集~」発売中。