平成30年1月分 金剛寺住職短文法話集


 「坊主の説法と結婚式のスピーチは短いほど有難い」と。但し、その短文法話の中には必ず含み言葉が。講演会でよく次の様な質問を。「法話によって参加者全員が抱える問題を網羅することが出来ますか」と。対し私は「法話は話し手より聞き手の受け取りの方が大事。法話は数学で言うところの『公式』に同じ。その話に自身が抱える問題を当てはめ、自らが解決の糸口を導き出していく為の道具にするもの。これは法話に限らず、人と人との関係全てにおいて言える事にて」と説明を。その様に理解して頂きますれば、この短文法話も何かのお役に。

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0085  「楽して益を得ようなんて、そんな世界などない」

あるドクターに「人体の何%位を把握出来てますか」と。「数%かな。後は手探り。細胞分解した状態で目の前に置かれ、人間作ってみろ、と言われても。無理ということは把握出来てないということ」と。先日檀家がドクターに怒られたらしい。「暴飲暴食止めんが体治せやと、私に何を期待しとるか」と。神仏への願掛けも同じ。

0086  「人は誠でなければあかん、が、父の口癖だった」

高校講演で「豊臣、徳川家に仕えた藤堂高虎公は、晩年眼病で失明を。二代将軍秀忠公は高虎公の為、江戸城廊下を改築。「何故、貴殿の為にそこまで」と問う大名達に「知らぬ。唯、わしは誰よりも早く登城し、誰よりも遅く下城してきただけだ」と。人がそう動くからには、動くだけの理由がある。人の心を動かす人間に」と。

0087  「案ずるより産むがやすし、と簡単に言うが」

思い知られよ己が身の誕生の日は母苦難の日、と。当たり前の様に誕生日は当人を祝ってもらう日と。が、よくよく考えたらその日は、かつて母親が命を懸けて産んでくれた日にて。なれば、自分を祝ってもらうのではなく、改めて母親にご恩を報ずる日とするが本当の誕生日のあり方ではないのかな。一分違えば万分の違い。

0088  「所詮、人の営み。同じ生活風習は、どの国にも」

10月31日、1年の終わりに家族の霊と共に悪霊が。古代ケルト人は身を守る為、恐ろしい面を被り悪霊を追い払う風習を、これがハロウイン。宗教行事と知ってか知らずか、馬鹿騒ぎ。まあ経済効果はね。だけど、同じ魔を払う行事なら日本にも。立春の前の日、旧暦の大晦日。ご存知、節分。わが国の伝統行事も大切に。

0089  「人類誕生より、一つの命をバトンタッチのように」

私には2人の親、2人の親には4人の親。2+4+8と代々の親を20代目まで足していったら約210万人に。この方々がもし1人でも欠けていたら、今の私は。先祖供養は信仰じゃない。感謝の心を形に表したもの。命を流してくれた方々に感謝するは当たり前のこと。これが欠如してきた結果、命を粗末に扱う世の中に。

0090  「晩年息子と語り合えることが出来るが、父親の希望、かな」

父と息子の理想の関係は、と問われ「息子から見た場合、幼い時は間違いなく怖い存在かな。青年期になるとライバルだね。特にこの時期、父親は頭ごなしに息子を否定したらあかん。本人は一人前でないと百も承知。そこをつけば意地でも反感を。その時期を上手く通り抜ければ、必ず同士に。この流れが一番理想かな」と。

0091  「家の歴史を知る事が出来るは、菩提寺に残る過去帳」

当寺檀家の中には、200年前から戒名が残っている家が。これは何を意味するか。誰1人として親を粗末に扱う子孫がいなかったという事。当然そういう家庭は円満。何故、円満か。根底に感謝が。信長公が好んで舞った「人間50年、下天は夢」は、この世の50年あの世の1日なる意味が。ならば200年は、たったの4日。

0092  「あれから47年。小便をする度に確認し、心の中でお礼を」

私が8歳の時、突然血尿が。「止まるだろう」と夕刻まで待ったが止まらず父に告げると「いつから出とるんだ」とその時の父の慌てぶりは今でも脳裏に。「聞いて極楽、見て地獄」という諺が。診断は膀胱炎だったが、何せ8歳。初めて「死」を感じた体験だった。以来今日まで47年。毎日小便をする度にその時の父の顔が脳裏に。

0093  「頼れる人が消えて、初めて本腰に」

父が他界の数時間前「仕事が」と寺へ戻りかけるとドクターが「間に合わんよ」と。「大丈夫、戻って来るまでは逝かん」と。この言葉に何の根拠も。「親が死んだくらいで仕事休むな」との、父の言葉に従ったまで。仕事後、戻ると同時に他界。「ご苦労様。今日だけは休んでよか。が、明日から手伝え。寺が潰れるぞ」と耳元で。

0094  「親と言われる立場の人は、心に鬼一匹を」

今日だけ、と奥様の懇願で主人が会社を休み学校へ。教室では授業中というに生徒は席を離れ勝手放題。参観の母親達は教室後方で井戸端会議を。その状況に主人が堪り兼ね「こんな授業見に来たわけじゃなかぞ」と一喝。参観後先生に「モンスターは弱い先生にしか文句は言わん。親の顔色伺うよりも子供の将来の為鬼に」と。

0095  「掛け算覚えにゃ、高等数学は解けん」

基礎なる力を苦労して体得しようともせず、高い給料だけを望む若者に「ある国の愚かな国王が隣国に招待され城の最上階へ。そこからの眺めに感銘し家来に『自国にも建てよ』と。数ヶ月後、視察に赴いた国王は家臣に『わしは最上階だけ建てよ、と命令したんだ』と。基礎工事を成し、1階建立中の様を見ての激怒」の話を。

0096  「世代交代は、先代が元気なうちに」

秀忠公が「大名達は、上様、上様と言っとるが、皆心は駿府(家康)に向いておる。だが、10年も言われ続ければそれなりの姿になる」と。世代交代は親が元気なうちにするが正解。従う人達も後ろに先代が控えておると思えば安心して従う事が。後継者はその間に大いに失敗し、恥をかいて、本物に仕上げることが大事。

0097  「我慢する必要のない人生を送ってきた人なのかな」

わが寺は、四国巡礼中は全日程において酒、煙草は禁止。巡拝は基本、空海修行の追体験。よって不平不満をこの地に落とす事ならず、が原則。以前、何番札所かで遭遇した老男性が「飯が不味い。布団が古い」などの不服を。それに対し連れの方が「セレブ旅行なら別の機会に」と苦言を。物見遊山とそうでない方の差かいな。

0098  「お年寄りの知識は、宝の宝庫にて」

金剛寺にはお節介な優しい老ドクターがいて「住職、うがいは喉の血流を良くする為に、ガラガラと音を立ててせい。オナラを止める時にキュっとケツの穴を閉じるじゃろ。その開閉を繰り返す行為で前立腺が鍛えられる。コーヒーは肝臓機能促進に効果があるんじゃ、必ず飲め」と。有難いですね。貴方もこれ、如何ですか。

天徳山 金剛寺

ようこそ、中山身語正宗 天徳山 金剛寺のホームページへ。 当寺では、毎月のお参りのほかに、年に数回の大法要も行っております。 住職による法話も毎月のお参りの際に開催しております。 住職(山本英照)の著書「重いけど生きられる~小さなお寺の法話集~」発売中。