平成30年2月分 金剛寺住職短文法話集

「坊主の説法と結婚式のスピーチは短いほど有難い」と。但し、その短文法話の中には必ず含み言葉が。講演会でよく次の様な質問を。「法話によって参加者全員が抱える問題を網羅することが出来ますか」と。対し私は「法話は話し手より聞き手の受け取りの方が大事。法話は数学で言うところの『公式』に同じ。その話に自身が抱える問題を当てはめ、自らが解決の糸口を導き出していく為の道具にするもの。これは法話に限らず、人と人との関係全てにおいて言える事にて」と説明を。その様に理解して頂きますれば、この短文法話も何かのお役に。

   

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0099  「口から出る言葉で、その人間の人格が大方判断出来る」

家康公に仕えた徳川四天王、鬼の作左こと本多重次公が「趣味と服装を見れば、その人間の心根がよくわかる。その最たるものが、言葉遣いである」と。確かに、心の中にないものが表に出てくることなどは絶対にない。余程考慮して言葉は選ばないと「私はこんな人間である」と、世間に向けて自らを暴露してるに同じだよ。

0100  「見て見ぬ振り出来るが、7本当の親」

学校保護者会講演で「カワセミは、雛が巣立つ日を見据え、故意に急流上の枝に巣を作ると。時期がきたら親鳥は餌をくわえ「食べたいなら、飛んでこい」と川向こうの枝に。どんなに雛が鳴いても与えようとはしない。遂にひもじさに耐え切れず、勇気を持って親鳥の元へ。これで巣立ちが完了。鳥にに負けておりませんか」と。

0101  「人間死んだら終わりよ、じゃ、あまりに寂しいよね」

散々迷惑を掛け続けた元極道の息子が母親の葬式で号泣。対し「君な。人間の世界では人は「死んだ」と。が、仏の世界では「ご浄土へ生まれ変わった」と。生まれ変わるなら名無しの権兵衛で逝かせる訳には。そこで戒名を。お母さんな、やっと楽になって浄土へ旅立とうとされとるんだ。最期ぐらいは笑って送らんかい」と。

0102  「実れば実るほどに、頭を垂れる稲穂かな」

知人老僧が「世の中「先生」と付くほど馬鹿おらん。政治家、教諭、医者、物書き、その中には当然の事ながら坊主も。常日頃、上から物を言うばかりで、上から物を言われることがない。時には未熟だった時代を振り返り、謙虚心の復活を。曹洞宗故宮崎禅師管長様は、100歳を越えられても雲水と一緒に座禅修行を」と。

0103  「何が悲しゅうして先祖が子孫を祟るかいな」

初参拝の女性が相談に。「知り合いの紹介で僧侶が来られ、家の中に仏像を祀っているから先祖が中に入れん、と玄関先で怒っとる。祟りがあるからどけろ」と。「ほう、それは大変ですね。で、外へ出たらその玄関先の怒れる先祖と遭遇する事になるが、何かされたね」「いいえ、何も」「そう、なら、この話は終わりだね」と。

0104  「何よりの親孝行は、子供が幸せな人生を歩んでいる姿」

商工会議所講演質疑応答で「心配を掛け続けた親に孝行したいのだが、何をすれば親が喜んでくれるのかと。品物、旅行と色々思案を。が、これといって答えが出ない」と。「人は受けた恩に対し感謝している間は。が、忘れた途端に、また同じ過ちを。親が何より望んでおるは、子が真面目に社会に貢献して生きてる姿かな」と。

0105  「人の心を変えられるのは、人の心」

大正生まれの祖母は自他共に厳しく、母は私が8歳の時それが原因で離婚。30年前には当時21歳の妻も「孫の嫁であろうと嫁は嫁」と容赦なく。が、献身的に半身不随だった祖母の下の世話から生活全般の支えを。最期は妻の手を取り「この家に来てくれて本当に有難う」と。人の心を変えるは人の心と、私は妻から教訓を。

0106  「神通力よりも行動力」

超有名信仰創始者が数多の信者の前で遠くの山を指し「引き寄せる」と念力を。1度目、2度目までは信者達も「いかに尊師でも」と。だが3度目の挑戦でも失敗を。すると不信感を抱く者が続出。そこで創始者が一言、「山がこちらへ来んのなら、私が山へ向かって歩いて行こう」と。何事も自らが一歩踏み出せ、の教訓かいな。

0107  「見る、言う、聞くの親の判断は大事かな」

3年前、学校保護者会講演で「申年で思い浮かぶは、やはり「見ざる、言わざる、聞かざる」かな。だが、目、口、耳に当ててある手は、自分の意志でどうとでも。時と場合によっては「見てはならん、見らねばならん。言うてはならん、言わねばならん。聞いてはならん。聞かねばならん」等の使い道が。見極めが大事」と。

0108  「講釈、文句を言う前にまず動け、だね」

上杉家中興の祖、鷹山公は「為せば成る。為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」と当家の救済を。その手本は関ヶ原で豊臣方に味方、領地減封の上杉家を自らは領地を返上、家臣も禄を削る事で1人もリストラせず、家臣に百姓をさせて財政の立て直しをした家老直江兼続公の政策。「先ず動け」の教訓だね。

0109  「自分は産んでもらっておきながら、わが子は闇から闇に」

これは夢の話にて。女性3人が寺へ来て「私達水子の姉妹です。この度ここで私達の供養をして頂けると。そのお礼に」と。「水子さんですか。30代半ばに見えますが」と返すと「生まれていたらこの様な姿に」と。その夢の翌日、見知らぬ老女が「水子の供養を」と寺へ。聞くと40年前に次々3人。皆、女の子。凄い偶然。

0110  「プライドが服を着て歩いてるが人間、かな」

人に注意されて腹が立つ時は、身に覚えがあるか、濡れ衣を着せられた場合、かな。身に覚えがある場合でも、自分の欠点を面と向かって言われたら、人は聞く耳を持てないもの。しかし、不特定多数への注意なら「自分にも当てはまるところがあるな」と素直に照らし合わせる事が出来るもの。法話の存在意義は、これかな。

0111  「親元こそが、わが故郷。でありたいね」

中学校保護者会講演で「家康公に引退を命じられた石田三成公が「琵琶湖の鮎は春になれば必ず産まれた瀬に戻るそうです」との言葉を淀君に残し大阪城を後に。駆け引きなしに愛情を注いでもらった親とも慕う秀吉公への恩に報いる為、豊臣家存続の旗揚げを。親の愛情が無二のものなら、子が親を裏切る事はないですよ」と。

0112  「あなたの物は私の物。私の物は私の物」

ある女性が「義父母に気を遣う生活なんて」と結婚否定を。対し「貴女の親はそれをやって、今現在貴女が安らげている家庭を築いたんだがな」と。またある女性が「子供に時間を取られる生活なんて」と。対し「親に散々時間を取らせた貴女が、時間を取られるが嫌とは、何」と。してもらった事は、して返さにゃ、ね。

天徳山 金剛寺

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