平成31年4月 金剛寺住職短文法話集

 「坊主の説法と結婚式のスピーチは短いほど有難い」と。但し、短文法話の中には必ず含み言葉が。講演会でよく次の様な質問を。「法話によって参加者全員が抱える問題を網羅することが出来ますか」と。対し私は「法話は話し手より聞き手の受け取りの方が大事。法話は数学で言うところの『方程式』に同じ。その話に自身が抱える問題を当てはめ、自らが解決の糸口を導き出していく為の道具にするもの。これは法話に限らず、人と人との関係全てにおいて言える事にて」と説明を。その様に理解して頂きますれば、この短文法話も何かのお役に。

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0294   「結婚は当事者2人だけの問題ではない。結婚と同時に親は4人に」

女房殿のご両親と一緒に住むことが決定した時、当時17歳の娘が「私は嬉しいけどお父さんの負担が」と心配を。「母さんは3姉妹だろ。皆が他家に嫁いだら、当然、晩年は2人だけになる。男性は妻側の両親を世話する気がないなら、初めからその様な家の娘を嫁に選ばんことだ。父さんの親だけが、親じゃないからね」と。

0295   「死に際の姿、子孫に与える影響は、極めて大きい」

今日まで約800人の葬式。それ以上の死と向き合ってきた結果、人が死を迎える時の姿はおよそ3種類。落ち込み閉鎖的になる人。死を恐れ、泣き続ける人。で、これが大半だが、平常心でその時を待つ人。人生は挫折の連続。が、その折々を懸命に生きた人は最期に後悔は。さて、必ず来るその時をどの形で迎えそうですか。

0296   「仕事でも何でも、初体験の時は、皆んな、ど素人にて」

以前、安田大サーカスクロちゃんが、ドミノ倒しで失敗を繰り返し、追い込まれ号泣。テレビとはいえ、人が哀しむ姿を見るは忍びない。勉強、運動、仕事、どの分野でも器用、不器用はおる。その不器用な人を「どうして出来ない」と追い込んじゃあかん。特に一生懸命にやってる人を。育てる立場の人の役目は「待つ」こと。

0297   「知らなかった、と言えば、何でも通るんかい」

毎年林間学校の世話する若者が「数日間、子供達と一緒にいるといじめの有無は大方は。学校側が「気付かなかった」と度々報道で。あれは少々疑問。必ず子供は信号を発信。見て見ぬ振りすれば、事後に責任回避が出来るからね。生涯を通しても、命に関わる助けを求められる事って、そう滅多にあるもんじゃないのに」と。

0298   「人の評価は第三者が決めるもの。その答えはいずれ出る」

医師を夫に持つ知人奥様が「私の周りには勘違いされている方々が多い。地位や名誉は夫のもの。偉いは夫で、私達妻や子供ではない。まるで虎の威を借る狐。が、中には立場を弁え、その姿に尊敬されている方々も。世間が私に頭を下げる理由は、何。人の本当の評価は、地位や名誉や虎の威を失った時に、答えが出る」と。

0299   「ここぞの時ぐらい一枚岩に。何でも反対すれば、いいってもんじゃない」

国会中継を見る度に、個人攻撃は別の場所で、と思う。長々と女性問題やうっかり発言問題を。下々の生活は緊急を要し、中には、国への失望から自殺をする方も。それに何、嘗ては政党名を公募で。野党がどういう目的で徒党を組んだか、深い意味を国民は知らん。我々は「迷走政党」と公表してるに同じ。早く本題に目を。

0300   「人が動けば必ず文句を言う者が。文句言われるが嫌なら政治家になるな、と角栄さんが」

檀家子供達に「昨年大河にて、勝海舟が西郷どんに江戸城無血開城を懇願。どうにか江戸戦火回避。考えてみたらどの時代でも世の中を変えてきたは、また、変えるきっかけを作ってきたは、少数意見側の勇気ある行動。大半の人間は、寄らば大樹の陰。矢面に立つは嫌。文句三昧。動く気がないなら、せめて邪魔だけは」と。

0301   「古より、一つの命のバトンタッチしてきてくれたお蔭で、今、私が」

先祖を敬っている祖父母に、批判的な目を向ける孫が「住職さんは、霊魂があるという証拠を出せるか」と。「無理だな。じゃ君は、霊魂がないという証拠を出せるかい」と。「出せん」「双方に証拠が出せんのなら、祖父母を批判するのは止めな。先祖供養は、命を流してくれた方々への感謝の心を形に表しているだけだよ」と。

0302   「人の体の治癒能力は凄い。人間関係もまた、治癒能力はある」

檀家ご婦人が「じん帯を痛め、そこに溜まった水を抜いたら、滅茶苦茶痛かった。炎症を治癒してやろう、と頑張って冷やそうとしとるに、抜くとは何じゃ、と、体が怒ってるんかいな。思えば、授かる縁は全て、その人に欠けている物を補う様にやって来ている様な気がする。夫婦の性格が、真逆が多いも、その一つかな」と。

0303   「病気は口から。口養生が出来ねば。口が無ければ信仰はいらん。それ程に口は罪を」

檀家男性が主治医から「酒も煙草も暴飲暴食も、止める気はない。病気だけ治せ、じゃと。わしに何を期待しとるんだ。努力する気になってから出直して来い」と。ごもっとも。信仰の世界でも同様の話は数多に。何の努力もしようともせず、世の中に奉仕もせず、誹謗中傷三昧。が、幸せにはなりたいと。何とも困ったもの。

0304   「幸せな時期に幸せを考えよう。健康な時期に健康を見直そう」

法要後の法話で「諺に、千里の道も一歩から。ローマは一日にして成らず、が。成功に至る心構えを説いてるが、その中には失敗に至る意味も。将来の不幸は、幸せな時期からじわじわ忍び寄ってきている。健康な時に暴飲暴食。お金に余裕がある時に浪費。分を弁えている人は被害を最小限に。良しも悪しきも自業自得の世界。

0305   「原子力に携わったアインシュタインは、死ぬまで、核廃絶運動を」

中学生徒達に講演で「麻薬は医療に使えば鎮痛剤に。快楽に使えば人生の破滅に。水は牛が飲めば乳に。蛇が飲めば、時には毒に(仏教説話)。全て使う者と使い道によってその質が変わる。それその物自体には何の落ち度もない。ピーマンは嫌いでも、ピーマンその物が悪い訳ではないだろ。何が言いたいか、わかるよね」と。

0306   「生活環境が子供に与える影響は大きい。子は親が育てただけ」

わが子の愚痴ばかりを言う母親に「生まれて次の日に、30歳になる子はいないよ。誰が育てたんかね」と。子供は子供で「俺がこうなったのは、親のせいだ」と。対し「いい歳して、いつまで親のせいに。親が死んだ後も一生愚痴を言い続けるつもりかい」と。この親にして、この子ありかな。この手の話、結構に多いかな。

0307   「知らん事には口を出すな。恥をかきまっせ」

女房殿と初めてオーケストラを聴きに。素晴らしかったが、2時間の公演の内、半分の時間は演奏後の指揮者の入場退場の繰り返しに拍手喝采。それも一曲終わる度、くどい程に。堪り兼ね女房殿に小声で「何しよるとか、何回も」と。「黙れ。世界的に有名な楽団では当たり前。知識ない人間に限って文句を言う」と怒られた。

天徳山 金剛寺

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