令和 元 年 7月分 金剛寺住職短文法話集
「坊主の説法と結婚式のスピーチは短いほど有難い」と。但し、短文法話の中には必ず含み言葉が。講演会でよく次の様な質問を。「法話によって参加者全員が抱える問題を網羅することが出来ますか」と。対し私は「法話は話し手より聞き手の受け取りの方が大事。法話は数学で言うところの『方程式』に同じ。その話に自身が抱える問題を当てはめ、自らが解決の糸口を導き出していく為の道具にするもの。これは法話に限らず、人と人との関係全てにおいて言える事にて」と説明を。その様に理解して頂きますれば、この短文法話も何かのお役に。
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0336 「ハングリー精神は、いつの時代も気力の向上に」
米国禁酒法時代暗黒街を牛耳っていたは、若干27歳アル・カポネ。脱税で11年服役後は「殺される」と震えて余生を。彼は「百の講釈より玉一発」と。日本も明治維新立役者は二十代の若者達。社会全体が発展途上であった事も若者達が活躍出来た要因かな。家康公は「天下を取るは至難の業。が、守り続けるは難しい」と。
0337 「人並みは人並み。上を目指すなら」
起業希望の若者に「山は低けりゃ、ハイキング気分。海は浅けりゃ、バカンス気分。が、山は高くなればなる程、海は深くなればなる程、命に関わる領域。知識、知恵、経験、体力が不可欠に。どの分野でも、高みを目指すは容易な事では。枝葉も先になればなる程、風当たりが強くなる。加えてトップは孤独に。その覚悟を」と。
0338 「失敗を恐れて動かん人に、成功の縁はない」
私の法話本はライブドア時代の堀江さんのもと部下の方が担当して世に。その関係性から息子が「彼をどう思うか」と。「世の中は出る杭は打たれるし、出過ぎた杭は抜かれる。が、その結果、協調性を。人が動けば必ず文句を言う者が出てくる。その是非はともかく、動く人のおかげで世に教訓が。動かん人よりはましかな」と。
0339 「真実は小説よりも奇なり、だね」
檀家の爺様が「妻が痴呆に。わしを夫と認識が出来ん。日替わりで親になったり、兄になったり。時には敵となり暴力を。それでも妻が愛おしい」と献身的に介護を。その爺様が85歳で他界を。その葬式当日、何と婆様の痴呆が改善。5年もの間、故意に狂言はありえん。爺様が持って逝ったのかな。現在、婆様99歳、正常。
0340 「親が聞く耳持てば、子供は心を閉じたりはせん」
知人の精神科医師が「住職。親に反抗する子供は順調に育っとるよ。親に文句も言えない様な家庭環境は作ったらあかん。一概には言えんが、私の知る所では、自殺した子や精神疾患(うつ病)を引き起こした子供の家庭は親子のコミュニケーションが取れてない事が多い。無闇に突けば殻の奥に。ヤドカリと同じだよ」と。
0341 「誰しも自分だけは死なんと思っとる」
中学校講演で「何処に行くも、娘3人を車に同乗させて出かける両親が、その日に限って家に残し夫婦で自社へ。外出5分後、事故で2人共が即死。後日娘達は親戚預かりに。現在、3人共母親に。この世にある物はある日突然消える可能性の高い物ばかり。今、この私を支えている物は何か。他人事と思わず考えてごらん」と。
0342 「祖父母と関わりの深い孫は、心が穏やかかな。話を聞いてくれるもんね、爺婆は」
老人会で「育てられた経験しかない者が親となり、初めての子育てを。無理。プロの助けが必要不可欠。さあ、爺ちゃん、婆ちゃん、出番でっせ。『うるさい、くそババア』と孫が悪態を。が、言葉と心は別物。母を持たず、祖父母に育ててもらった私が言うので間違いない。教訓と感謝は57歳となった今でも、心の中に」と。
0343 「親の責任を最期まで果たした母親。息子はその後、自力で借金を」
檀家息子が無謀な商売に手を出し失敗。父親が退職金全額を負債に。が、補えず両親共パートに。その中、母親が乳癌発症方々に転移を。頭の毛は抜け落ち、顔は浮腫んだ状態で夜中まで皿洗いを。「私達がしっかり育てておれば。こんな体になっても迷惑を掛けた方々にだけは。この姿を見せる事でこの子に」と命尽きるまで。
0344 「この報道を見ていた息子が、これを箱詰めしたは子供達ではなく、親だよね、と」
支援物資の話が出る度に、福岡沖地震後の子供達の言葉を思い出す。「有難いとは。が、貴方なら使いますか、使い掛けの鉛筆や消しゴム。着崩した下着や衣服に靴等。僕達は被災者だが乞食じゃない」と。物資を運んだ檀家の海上保安官が「この子達が言う通り。驚いた」と。自分にとって要らん物を与えるを、施しとは言わん。
0345 「たまには俗欲を離れた時間を過ごすのも大切かも」
四国巡拝では様々な場面から教訓を。見た目還暦越えの息子さんが老いた母親を背負い、百段以上ある石段を。体の前後に人形を抱えた女性が。恐らく子供さんを幼い時に。白い杖を金剛杖とする全盲の方の巡拝も時折り目に。全く日本語の話せない若い異国女性が単身で歩き遍路を。自分自身を見つめ直すには最適の地かな。
0346 「夢を諦めさせる、夢を諦める、タイミングを見計らうは難しいね」
定年前のご夫婦がお寺に。「世の中には特殊技能、資格を必要とする職種を夢見て、長年喘ぎ苦しんでいる若者が数多に。その結果、夢が叶う者、叶わぬ者。私達の息子は前者になるか、後者になるかは。甘い親と世間から。が、止める権利は。彼の人生にて。ただ、親が加勢出来るは、生きている間だけ、と一言だけ息子に」と。
0347 「嘗ては嫁いできた義母が嫁いびりを。虐待受けて育った子の8割が親になって虐待、と」
1年前、檀家の娘が結婚を。嫁ぎ先では義母が自己中心の態度から、長年に渡り家庭内で孤立状態。が、この娘が嫁いだ事でそれが。マンネリ状態からでは環境改善は望めん。新たな風が吹かんと。偶然かな、当寺の檀家娘の嫁ぎ先は、先祖を大事にしてない家庭が多い。この娘らがそれを。不足を補う様に縁は結ばれるのかな。
0348 「当たって砕けてもいいじゃん。何もせんよりゃ、まし」
会社の後継者が拙僧法話本中の「犬も歩かにゃ棒にも当たらん」に感化され、関連会社では最大手に「仕事を下さい」とアポなしで突撃訪問を。その時たまたま遭遇、相手をされた重役さんが今、引き手数多高給料出向先を断り、この若者の低給料会社を出向先として選択。「こいつの育成を最期の仕事」と。人を動かすは感動。
0349 「この世で出会った人達と、またあの世で。が、切なる望みかな」
檀家さんから「住職が信仰する目的は」と。「拙僧当年57歳に。常に心にあるは、あと何年女房殿と一緒におれるんだろう」ということ。父の他界年齢まで生きたとして正月17回迎えたら終わり。坊主なのにあの世があるを切に願う。この世からの延長で女房殿と同じ場所で生活したいから。個人的な信仰継続理由はこれ」と。
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